写真:PIXTA
秋は豪雨が多い時期で、梅雨の雨量を大きく上回ることもあります。気象庁のデータを見ると、東京での6月~7月の平均雨量が162mmであるのに対し9月~10月の平均雨量は230mmと、梅雨の時期に比べて約1.4倍の雨量となっています。
こちらの記事もおすすめ!→【気象予報士が解説】秋の台風はここに注意!
秋にこのような大雨をもたらす主な原因は台風です。秋の日本付近には、秋雨前線が停滞して台風を流す偏西風が吹いており、秋の台風は夏の台風に比べて速度が早く雨量が多くなりやすいため、夏の台風との比較で秋台風と呼ばれています。秋台風には5つの降水パターンがあり、梅雨とは違うメカニズムで豪雨が発生します。秋台風の豪雨災害に備えるためにも、豪雨のパターンや特徴を知っておきましょう。
秋台風の5つの降水パターンとは
秋台風の5つの降水パターンのうち、2つは台風接近前から発生し、残りの3つは台風が接近すると発生します。
[台風接近前から発生する降水パターン]
・地形による降水
・秋雨前線を刺激することによる降水
[台風本体による降水パターン]
・台風本体の外側降雨帯による降水
・台風本体の内側降雨帯による降水
・台風の目を取り巻く目の壁雲による降水
地形による降水
画像説明:2022年台風14号の地上天気図、気象衛星画像(赤外)、日降水量分布図(解析雨量)=左から=。九州南部や紀伊半島などで局地的に地形による大雨が降ったことがわかる(右の図の赤線の範囲内=筆者加筆)。気象庁災害時自然現象報告書 2023 年第 2 号より引用
地形による降水とは、湿った風が山地にぶつかることで局地的に雨雲が発生し雨が降ることです。例えば、日本付近で台風からの湿った南東風が吹くと山地の南東側で雨雲が発生します。
台風が日本に接近する数日前から発生することもあり、風向きが変わらない限り局地的な豪雨が続きます。一方、地形による降水パターンの場合だと平野部や山地の風下側になると雨はあまり降りません。
無断転載禁止