知ってますか?避難情報 準備と勧告どう違う


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「避難情報」は、災害の発生が差し迫ったときに出される情報です。報道で、「避難準備情報」「避難勧告」「避難指示」などを耳にしたり、目にしたりする機会も多いと思いますが、どう違うのかを意識していない人も多いかもしれません。そこで、この記事では3種類の避難情報について違いとそれぞれの特徴を紹介します。避難情報を正しく理解し、もしもの場合に備えてください。

避難情報の種類

避難情報は、洪水・土砂災害・高潮・内水氾濫などの災害発生が差し迫ったときに、各市町村が住民に避難を促すために発令します。

避難情報には「避難準備・高齢者等避難開始」「避難勧告」「避難指示」の3つの種類があります。ここでは、それぞれの避難情報について解説します。

避難準備・高齢者等避難開始

気象情報に注意しながらいつでも避難ができるように準備を行い、すでに危険を感じている人や避難に時間がかかる人は避難を開始してほしい時に出されます。

避難勧告、避難指示よりも前に発令されます。避難勧告や避難指示は知っていても、この避難準備・高齢者等避難開始について知らない方もいるのではないでしょうか。

 

1961年から運用されている避難勧告や避難指示と違い、避難準備・高齢者等避難開始の運用は、2005年に始まりました。また、2005年に制定された当初は「避難準備情報」と呼ばれていて、2016年から現在の「避難準備・高齢者等避難開始」になりました。避難勧告や避難指示に比べると知名度は低いですが、お年寄りや避難に時間がかかるような場合などに、避難準備・高齢者等避難開始は特に重要な避難情報です。しっかり覚えておきましょう。

避難勧告

災害による被害が予想されて人的被害が発生するおそれが高まったときに発令されます。住民に避難を促す情報です。

避難勧告が出されるのは、避難準備・高齢者等避難開始に比べて災害の危険度や緊急度が高まっている状態になったことを意味します。

避難指示に比べると切迫していませんが、災害リスクが高まっていて発令後に避難指示が出る可能性もあります。避難勧告が出された場合は自治体が指定している避難所など安全な場所に避難しましょう。

避難指示

災害が発生するなど、状況が悪化して、人的被害の危険性が高まった場合に出されます。避難勧告よりもさらに災害の危険が切迫した段階です。基本的には避難勧告の後に発令されますが、津波被害などのように急に災害が発生して一刻も早い避難が求められる場合は、避難勧告が出ずに最初に避難指示が出されることもあります。

 

避難指示が出ても指示に従わなかった人に対して強制的に避難させることや罰則などはありません。しかし、避難指示が発令されたときは大きな災害に巻き込まれるリスクが非常に高まっている状態なので、自分や家族の身の安全を守るためにも直ちに避難をしましょう。

避難情報を知る方法は?

避難情報は、住んでいる自治体から住民に対して出されます。避難情報を知らせる方法として、次のような方法があります。

 

・エリアメール

・防災行政無線

・市や消防機関の車両による広報

・テレビやラジオ

・自治体のホームページ

 

エリアメールに対応しているスマホであれば、自治体が避難情報を出したタイミングでスマホのアラートが鳴るので、すぐに情報が得られます。

市や消防機関の車両の広報や防災行政無線などでも情報を得ることができますが、大雨が降っているときなどは聞こえない場合もあるので注意が必要です。

テレビやラジオ、自治体のホームページにも避難情報が出されるので、これらの情報も細かくチェックしておきましょう。

避難情報と警戒レベルについて

国は、避難情報をわかりやすくするために警戒レベルを5段階に分けています。

引用:気象庁「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」

https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/alertlevel.html

避難準備・高齢者等避難開始は警戒レベル3に該当し、避難勧告や避難指示は警戒レベル4に該当します。

 

また、避難情報は気象庁が発表する注意報・警報や気象情報を参考にして出される場合が多くあります。たとえば、土砂災害警戒情報が出されたら警戒レベル4相当になるため、山沿いの住民に対して避難勧告や避難指示が出される可能性が出てきます。

警戒レベル相当の警報や情報が出ても避難情報が必ず出されるわけではありません。各自治体が現在の状況や今後の見通し、災害リスクなどから避難情報を出すかどうかを最終的に決定します。

避難する際の注意点

地域ごとに、学校や公民館など、災害が起こった際に避難所となる場所があります。避難場所は「避難準備・高齢者等避難開始」が出たタイミングから開設され始めます。

夜になってからの避難は視界が悪く、思わぬ事故に巻き込まれる可能性があるので、避難する場合は日没前の明るいうちに完了させましょう。

また、避難する際は災害に巻き込まれないために、以下の点に注意してください。

 

・水害のリスクが高いため、増水している川や橋の近くは避ける

・自動車が水に浸(つ)かると動かなくなり、水圧で扉が開かなくなる危険性があるので自動車での避難は避ける

・土砂災害に巻き込まれないために、山沿いは避ける

 

避難所まで移動することに危険を感じるようなら、無理をせずに浸水や土砂災害の被害をできるだけ減らすために自宅の2階以上の場所や近くのビルに避難しましょう。

命を守るために避難情報を理解して行動しましょう

避難情報は、自治体が住民の命を守るために出す情報です。避難情報を正しく理解して行動すれば、災害による被害を減らすことができます。

避難情報で命を守るために「避難準備・高齢者等避難開始」「避難勧告」「避難指示」の3つの避難情報の違いを確実に覚えておきましょう。

また、警戒レベルと避難情報の関係を理解しておくと「○○情報が出たので避難勧告が出るかもしれない」など、出される可能性のある避難情報を想定しやすくなります。

自分や家族の命を守るためにも、避難情報に関する知識を身につけておきましょう。

 

<執筆者プロフィル>

田頭孝志(たがしら たかし)

防災アドバイザー/気象予報士

田頭気象予報士事務所

愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数 ・防災マニュアルの作成に参画。

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