◆雑損控除(所得控除)と災害減免法(税額控除)の仕組みの違い
●所得が500万円以下なら…
所得が500万円以下の場合、災害減免法だと所得税全額免除ですから、被災した年の減免額は雑損控除より大きくなります。古くて時価が安い家が全壊したケースなどです。被害の程度が大きいものの損害額が小さい場合、災害減免法が有利になることが多いのです。
●単身赴任先で被災したら…
一方で、災害減免法は対象となる資産が住宅と家財だけで、雑損控除より対象の範囲は狭いのです。しかも世帯主が所有する住宅や家財だけでなく、生計を一にする配偶者や扶養する親族の所有する住宅、または家財をすべて対象とする必要があります。そのため、損害が家財の2分の1以上にならず、災害減免法が使えないことも起こり得ます。たとえば、世帯主が単身赴任先で被災したが、留守宅が被災地外で無事などの場合です。
●新築の家が全壊したら…
申告が1回で済むかどうかもポイントでしょう。災害減免法は、被災した年の所得税しか減免できませんが、雑損控除は、その年の所得金額から控除しきれない金額がある場合には、翌年以降も最大3年間、損害額を繰り越して差し引くことができます。たとえば、新築の家が全壊した場合、雑損所得なら損害の繰り越しができ、トータルの減免額が災害減免法より大きくなることがあるわけです。
税務署は相談には応じてくれますが、雑損控除と災害減免法のどちらで申告するか、自分で判断する必要があります。選ぶ目安として、年間所得が600万円の夫婦と子ども2人の世帯のケースとチャート図を用意しました。
無断転載禁止