被災したら確定申告!保存版「災害と税金」〈下〉

家財損害額の「みなし計算法」

そういう場合は、家財の損害額を簡便法で計算します。家族構成からみて平均的にこの程度の家財を持っていたとみなして損害額を計算します。

 

◆「簡便法」による家財の時価の算出方法

表に示した通り、世帯主が45歳の夫婦なら家財は1100万円。同居者の年齢と人数で、大人(18歳以上)は1人につき130万円、子ども(18歳未満)は1人につき80万円を加算します。

 

世帯主が45歳で、妻と20歳と16歳の子ども2人と暮らす4人家族の場合、被災時に1100万+130万+80万=1310万円の家財を持っていた、とみなすわけです。地震保険で家財保険に入るときの補償額もこの方法で決めることが多いといいます。

 

家財の被害の程度は家の被害の程度と同じとみなされます。家の被害の程度が5%なら、家財も実際の被害の程度にかかわりなく5%とみなされます。
先ほどの4人家族で家財の損害額をみていきましょう。

 

家が半壊した場合:1310万×0.5=655万円

家が一部損壊した場合:1310万×0.05=65万5000円

 

家財が家の被害の程度以上に被害を受け、それを控除額に反映させたい場合、家財の損害額を足しあげて算出してください。

車の損害額の計算方法

続いて自動車の損害額を算定します。

自動車も時価の計算に簡便法が使われます。乗用車の減価償却率を表にまとめました。

 

◆ 自動車の損害額を出す「簡便法」

トラックの償却率は乗用車の償却率とは異なりますが、軽トラックは軽自動車と同じです。オートバイも雑損控除の対象になりますが、償却率は車とは別です。自転車は「家財」の扱いです。

 

自動車の損害の程度は全壊、半壊といった判断が難しいので、修理費が損害額として認められるのが一般的です。時価が200万円で修理費が50万円かかった場合、車の損害額は50万円です。ただ、修理費(=損害額)として認められるのは時価までで、時価10万円の車の修理費が15万円かかった場合、損害額は10万円で、残りの5万円は災害関連支出として申告することになります。新車への買い替え費用は住宅と同様、控除の対象になりません。

雑損控除額の計算方法

保険金は損害額から差し引く

住宅、家財や車の損害額を紹介してきましたが、災害関連の支出の全額が雑損控除として所得から差し引けるわけではありません。ここからは、所得控除から差し引く必要があるものを見ていきます。

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