西高東低の気圧配置で注意すべき気象現象
西高東低の気圧配置で注意すべき気象現象には大雪・暴風・暴風雪・高波・雷・突風・竜巻などがあります。それぞれの気象現象の特徴と対策を紹介します。
大雪
西高東低の気圧配置になると、主に日本海側で天気が崩れます。これは冷たい季節風が暖かい日本海の海上を吹き渡る際に、雪雲を発生させるためです。
雪雲の高さは2~5kmと低いこと、またエネルギーの供給源が日本海の水蒸気であることから、日本海側で雪を降らせた雪雲は太平洋に達する前に消滅します。西高東低の気圧配置のときは日本海側で雨や雪が降っていても、太平洋では晴天になることが多いのです。
雪雲がかかり続ける日本海側では、大雪への備えが必要です。九州北部から北海道にかけて広い範囲で雪を降らせますが、関門海峡から雪雲が流れ込んでくる四国西部や日本海との距離が近い東海、東北太平洋側でも大雪になる場合があります。
雪の状況や地域の積雪量などは気象庁の「今後の雪」や「アメダス」をはじめ、国土交通省のライブカメラで知ることもできます。
大雪警報が発令されている場合は外出を控え、特に雪道での車の運転は危険を伴うので十分に注意してください。
雷、突風、竜巻
11月や12月は秋の名残で日本海の海水温度が高いため、そこに真冬並みの冷たい季節風が吹くと雪雲が発達して積乱雲になりやすい時期です。雷や突風、竜巻などの激しい現象をもたらすこともあるので注意が必要です。
雷・突風・竜巻への注意喚起は「雷注意報」として行われます。冬時期の雷は「一発雷」とも呼ばれ、夏に比べて発生数は少ないものの、落雷しやすくエネルギーが強いという特徴があります。雷鳴や稲光が確認できたら建物や車に避難し、気象庁の「雷ナウキャスト」を確認して雷が鳴っている場所が近くにないか確認してください。
また竜巻の発生リスクが高まったエリアには竜巻注意情報が発表されます。該当地域の方は気象庁の「竜巻ナウキャスト」を確認し、竜巻発生確度が黄色や赤色になっている場合は、頑丈な建物や自宅が木造住宅の場合は、柱が丈夫で比較的頑丈な1階で過ごし、窓ガラスの飛散によるケガを避けるために窓から離れたところで安全に過ごしてください。
暴風(暴風雪)・高波
西高東低の気圧配置の中でも、特に等圧線が混んでいる強い冬型の気圧配置のときは、日本海側を中心に暴風(雪が多いエリアは暴風雪)や高波に注意が必要です。
好天が多い太平洋側でも暴風や高波による災害リスクがあります。暴風では車の横転や飛散物にぶつかるなどの被害が想定されるため、屋外での行動は控えましょう。また荒れた海には興味本位で近づかないようにしてください。
暴風が吹き荒れると停電のリスクも高まります。強い風が予想されているときは、食料や飲料水などの備蓄を確認し、モバイルバッテリーや可能なら発電機を用意して備えましょう。
<執筆者プロフィル>
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。
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