各界で活躍する著名人が防災について語る「防災ニッポンボイス」。第4回は、昨年(2021年)の東京パラリンピック競泳男子100mバタフライ視覚障害のクラスで見事金メダルに輝き、100m平泳ぎでも銀メダルを獲得した木村敬一さんです。今年(2022年)6月にポルトガルの南西沖にあるポルトガル領マデイラ島で行われたパラ競泳世界選手権でも、やはり100mバタフライで金メダルを獲得した、日本のパラ競泳のエースです。木村さんは目が見えないと災害の際には「どんな危険があるのか見ることができないため、的確な情報を早く知ることが大切。そのためにも周りの人の助けが必要です」と話しています。
東京パラリンピックのワンツーフィニッシュと会場のこと
世界選手権ではこれまでも金を含むさまざまなメダルを獲得してきましたが、パラリンピックでの金メダルは東京が初めてでした。パラリンピックはやはり世界最高峰の舞台。ライバルで友人の富田宇宙選手も隣のレーンで泳いで銀メダルでした。ワンツーフィニッシュとなり、日本の強さを世界に証明できて誇らしい思いで胸がいっぱいになりました。
さまざまな障害を持つアスリートが集まるパラの大会では、何らかの不具合がどうしても出てしまいます。目が見えない私たちにとっては、複雑な作りでロッカールームが狭いような施設では、歩くだけでも不安になってしまいます。
施設面に加えて運営管理の面も
その点、東京パラリンピックは、会場のスペースが広く、移動もしやすかったと思います。また、会場へ移動するバスを待つ導線が分かりにくかったのですが、運営側がすぐに対応してくれました。どんなに施設が充実していても、やはり人間が一番大事。いちはやく対応してくれた東京パラは、運営管理の面でもとても良い大会でした。
<プロフィル>
木村敬一(きむら けいいち)
パラアスリート
2歳の時に病気のため視力を失う。小学4年生から水泳を始め、単身上京した筑波大附属盲学校(現・筑波大学附属視覚特別支援学校)で水泳部に所属し、着実に力をつけ頭角を現す。ロンドン2012パラリンピックで銀・銅1つずつのメダルを獲り、リオ2016大会では銀・銅2つずつ日本人最多の4つのメダルを獲得した。2018年から単身アメリカに拠点を移し、4度目の出場となる東京2020大会では、200m個人メドレー5位入賞、100m平泳ぎ銀メダル、100mバタフライでは自身初となる悲願の金メダルを獲得した。2021年紫綬褒章受章。
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