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夏から秋は、1年を通してもっとも潮位が高い時期です。潮位が高い時期に台風が接近すると大規模な高潮被害をもたらします。また、台風や潮の満ち引き以外の原因で発生する異常潮による水害にも注意が必要です。
この記事では、高潮災害が起こる原因や対策などを紹介します。
夏から秋は1年の中でもっとも潮位が高い
夏から秋にかけての潮位はほかの季節に比べると高くなります。地域によっては冬と夏の潮位が30~40cmほど異なるところもあります。
この時期の潮位が高い理由として、「海水温が高いこと」、「気圧が低いこと」などが挙げられます。
海水温が高いと海水が膨張して潮位が高くなります。また、夏の気圧は冬に比べると低く、気圧が低いことによって海水が吸い上げられることも潮位が高くなる原因です。
ちなみに、潮位は気圧が1hPa下がると1cm上昇すると言われています。
さらに、地球温暖化に伴う海水温度の上昇によって毎年少しずつ潮位が上昇しています。
21世紀末には1980年~1990年の平均海面水位に対して0.18m~0.59mの上昇が予想されています。潮位が上がると、これまで高潮被害がなかったところでも災害のリスクが出てきます。
また夏から秋にかけては台風シーズンでもあります。もともと潮位が高いところに台風の暴風や高波が押し寄せることで高潮災害が起こりやすくなります。
高潮が起こる原因
以下の表は近年の高潮災害をまとめたものです。
高潮災害はすべて台風(もしくは強い低気圧)によってもたらされています。
台風で高潮が発生する原因は主に2つです。
1つは、台風に伴う暴風が沖から陸に向かって吹くことで海岸に海水が集まって潮位が上がるためです。これを「吹き寄せ効果」と言います。
特に遠浅の海や風が吹いてくる方向が開いた湾になっている場合は、吹き寄せ効果が高く潮位の上昇が顕著になります。
もう1つは、気圧が下がることによって海水が吸い上げられて潮位が上がるためです。これを「吸い上げ効果」と言います。
そして台風の接近に「1日2回ある潮位が高くなる満潮」や「満潮時の潮位がより高い大潮」と重なると高潮被害はさらに発生しやすくなります。
これらの条件に、次の段落で説明する異常潮(高潮や津波以外の潮位異常)が重なってくると、過去にないような高潮被害が起こる可能性が高まります。
高潮被害はさまざまな要因が複合的に重なって発生します。悪条件が複数重なってしまうと、過去に経験したことがないような災害の可能性があります。そういう点で高潮は怖いのです。
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