写真説明:自宅に備えていたエンジン発電機
西野弘章さんの「逃げなくてもいい家」③ 快適さにつながるライフラインの自給自足
2019年9月に千葉県の房総半島を襲った台風15号で、家族で自宅避難生活を送った西野弘章さん。時に38度に達する猛暑のなか、2週間の停電と1週間の断水を乗り切りました。その体験から、「逃げなくてもいい家」の条件として「ライフラインの自給自足」を挙げています。今回はそのために必要な対策やグッズについてうかがいました。
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――被災時、停電にはどう対応されたのですか?
最初は、スマートフォンの充電などに使うモバイルバッテリーで過ごしていました。3日目に倉庫に眠っていたエンジン発電機を利用しました。
自宅倉庫に発電機を備えていた
東日本大震災の時に入手し、ずっと使っていなかったのですが、ガソリンを入れ、エンジンをかけてみると、幸い問題なく動きました。スマホの充電、照明のほか、冷蔵庫、洗濯機も使えました。ものすごく暑かったので、昼間の数時間、エアコンを使えたことも助かりました。
ただ、エンジン発電機は騒音や排気の問題があり、マンションや都市部の家で使うのは難しいと思います。あれから3年たち、いろいろと知り合いの家の防災化をアドバイスしているうちに、ソーラー発電をしている友達も増え、非常用電源の考え方も変わってきました。
――西野さんが考える今、一番のお勧めは何ですか?
ソーラーパネルに対応したポータブル電源です。3年前に比べて安くなり、性能もアップしています。騒音や排気の問題がないのでマンションでも使えます。
写真説明:ソーラーパネルとポータブル電源
ポータブル電源の条件
ポータブル電源は、容量の大きいものを入手すると、それだけ使える時間が長くなります。10万円クラスだったらかなり便利です。ただ、3日程度で停電が解消するなら3万~4万円の小型のものでもいいと思います。ポータブル電源はほとんどメンテナンス不要で、3か月に1度程度、充電状況を確認すればOKです。
2019年の台風15号では、我が家は2週間、停電しましたが、3日程度で復旧した地域や1か月近く停電が続いたところもありました。街中から離れたところに住んでいる方はガソリンとエンジン発電機を備蓄されている方も多いです。住むところによって、どんな非常用電源を用意しておくのか、おのずと違ってくると思います。
――ソーラーパネルを購入して接続すれば、充電することもできますね。
天候に左右されますが、晴れの日が続けば充電できます。
ベランダにソーラーパネルを置いて、自作の「ベランダ発電所」をつくることもできます。DIYが好きで道具があればお勧めです。楽しみながらでき、普段の生活でも使えますよ。
――ベランダ発電所の作り方は、西野さんの「避難所に行かない防災の教科書」に詳しく書いてありますね。これまで非常用電源について教えていただきましたが、実際に被災した時、何を接続するのかも考えておいた方が良さそうですね。
その電源から何をどう使うか
そうですね。災害時の情報を得るため、スマートフォンやパソコン、ルーター、モデムの類い、照明。トイレは電気がないと動かないものもありますから、トイレもですね。乾電池でも流れるものがありますから、確認してみてください。
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