写真説明:西野さん自作のコンポストトイレ
西野弘章さんの「逃げなくてもいい家」④ 微生物でにおいを分解するコンポストトイレ
自宅避難をする上で、トイレの確保は食料や水の確保と同じくらい不可欠です。「避難所に行かない防災の教科書」の著者、西野弘章さんは台風で水と電気が使えない時、「コンポストトイレ」が役に立ったと言います。コンポストトイレなら水も電気も使わないで済むそうです。今回は、命を守るうえで大切なトイレのことをうかがいました。
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災害時に水洗トイレは使えなくなる?
――コンポストトイレ、気になりますが、まずは被災時のトイレについて教えてください。
ほとんどの家が水洗トイレだと思います。電動で流すタイプの水洗トイレの中には乾電池式と併用しているものもありますが、多くは停電すると動きません。電動式でない場合でも、断水すれば使えません。排水管や下水管が破損していない状況なら、くみ置きの水を流せば使えます。
ただ、特に大地震の時などは排水管や下水管が破損して、汚水が漏れる恐れがあります。その場合に使えるのが、非常用トイレです。汚物袋と凝固剤がセットになり、トイレにセットして使うものと、簡易便座がついているものがあります。自宅避難を考えているのであれば、1日にひとりが5回使うとして1週間分は必ず用意しておきたいですね。
――トイレ、とても重要ですよね。では、今日のテーマ、コンポストトイレについてうかがいたいと思います。バイオトイレとも言うそうですね。自宅避難の際に活躍されたとか・・
コンポストトイレとは
はい。これは、もともと家の敷地につくっていたものなんです。我が家は田舎暮らしで、敷地が広く、外にもトイレが必要だということになり、いろいろ調べた結果、自作のコンポストトイレをつくることにしました。生ゴミを微生物で分解して堆肥にするコンポストと同じ原理で、それをトイレに応用したものです。
購入すると高額なので、ホームセンターでコンポスターを買ってきて、DIYで便座になる部分と小屋をつくりました。用を足した後、米ぬかやおがくずを入れるだけで、においもしません。コンポストトイレには、中身をかくはんするものもありますが、普段は家の中のトイレを使っているので、かくはんしなくても十分、分解が進みました。
写真説明:コンポスターを設置したところ
結果的にこれが被災時に威力を発揮して、近所の人たちにも好評でした。うちの奥さんによると、女性は特にトイレが気兼ねなく使えないとストレスがたまるそうです。
――とてもよくわかります。
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