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旅行や出張などの出先で災害に巻き込まれるリスクがあります。慣れない地で災害に遭うと、避難方法や避難場所が分からないという問題も生じやすいです。
本記事では、旅行先で巻き込まれる災害リスクや、事前にできる備えや対策などについて解説します。
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旅行や出張先で巻き込まれる災害リスクの種類
旅行や出張先で巻き込まれる災害リスクを場所ごとに解説します。
海に近い場合…高波、高潮、津波
行き先が海に近い場合、起こりうる災害として特に注意したいのは、高波、高潮、津波の3つです。
このうち、高波と高潮は気象災害です。
台風の接近、または発達した低気圧の接近による荒天が引き起こします。
これらの災害は、天気予報や気象情報などで数日前から災害発生の可能性が把握できるものです。
旅行や出張を見合わせることや、ハザードマップから避難場所の確認を行うなどの事前対策ができます。
一方、津波は、地震や火山の噴火などによって発生する災害です。
気象災害と異なり、予期できないため、事前に避難場所を確認したり、避難方法をシミュレーションしたりしておくことなどが重要となります。
津波被害が想定される地域では、津波避難タワーや津波避難ビルの場所などを調べ、宿泊先や出張先などからの避難経路を確認しておきましょう。
山に近い場合…土砂災害、なだれ、噴火
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行き先が山に近い場合は、土砂災害・なだれ・噴火などに巻き込まれるリスクがあります。
土砂災害やなだれなどの災害は、大雨や大雪、急激な気温上昇などの気象現象が原因で発生します。
気象情報をこまめにチェックし、大雨注意報やなだれ注意報などが発表されている場合は、ハザードマップから避難所までの経路を確認しておきましょう。
噴火については、気象庁の噴火情報を参考にします。噴火警戒レベルが「1」(活火山であることを留意)以上の火山は、噴火の可能性がある火山です。警戒レベルが低くても、急激に火山活動が活発になる場合もあります。行き先の自治体が発行している火山ハザードマップを確認して、被害が予想されている範囲や避難経路などを確認しましょう。
参考:気象庁「噴火警報・噴火速報」
参考:防災科研(NIED)「火山ハザードマップデータベース」
川や都市部に近い場合は浸水、洪水
行き先が川や都市部に近い場合は、大雨による河川の氾濫や浸水などの災害に遭うリスクがあります。
悪天候が予想されているときは、スケジュールを変更して災害の危険性が少ない場所に行くなど、計画に柔軟性を持たせましょう。
また、台風や低気圧による大雨の予想は、基本的に気象情報で事前に分かりますが、短時間で記録的な大雨が降るような集中豪雨の予想は難しいことが多いです。
天気予報を過信せず、「もしも」の場合に備えておくことは大切です。
浸水や洪水などの場合は、出先の建物に留まる方が安全なケースも多くあります。
大雨が降っているときは出歩かないようにし、外出中の場合はショッピングセンターや近くの避難所などに身を置いて雨が弱まるのを待ちましょう。
場所に関係なく共通する災害リスク…地震
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地震は、場所に関係なくどこでも発生する可能性がある災害です。
地震が発生すると、揺れによる建物の倒壊だけでなく、土砂災害・なだれ・津波・大規模火災など、他の災害も引き起こす場合があります。
地震から身を守るためには、地震が発生した後にできるだけ安全な場所に避難することが重要です。
地震が発生した場合の避難場所、避難経路などは出発前に確認しておきましょう。
また、ホテルなどの宿泊先に到着したら、建物内の避難経路案内図の確認も行っておくと安心です。
避難経路において心配なことがある場合は、宿泊先のスタッフに尋ねてみるのもよいでしょう。
旅行や出張先で被災した場合はどうしたらいい?
出先で被災した場合は、以下の流れに沿って行動しましょう。
・身の安全を確保する
・避難
・家族に連絡をする
災害が発生したら、災害の種類に関係なく「身の安全を確保する」ことが最優先です。
地震の場合は、まずは頑丈な机などの下に隠れて落下物や倒壊物から頭部を守り、津波の危険性がある場合は、急いで高台や津波避難タワーなど避難場所に向かいましょう。
無事に避難できたら、家族に連絡をします。電話が通じない場合は、災害用伝言サービスを使いましょう。
参考:総務省「災害用伝言サービス」
宿泊先が安全で滞在が可能なら宿泊先で過ごし、出先から宿泊先に戻れなかったり、宿泊先で滞在を受け入れてもらえなかったりする場合は、近くの避難所や一時滞在施設などに避難して情報を集めましょう。公共交通機関が復旧したら、帰宅の準備をします。
旅行や出張先にこれだけは持っていきたい防災グッズ
旅行や出張に出かける場合は荷物も多くなります。持ち歩く防災グッズは厳選し、防災用のポーチを用意してまとめて入れておくと便利です。
以下のようなグッズを入れておきましょう。
車で移動する場合は、飲み水や、車内の温度変化にも対応した車載用非常食などを3日分程度、車に積んでおくと安心です。
災害はいつどこで発生するかわかりません。
備えを怠らないようにしましょう。
〈執筆者プロフィル〉
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。
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