浸水繰り返し旅館廃業も…景観重視から治水強化へ変容する最上川

「重要文化的景観」…堤防がなかった

最上川は眼前で大きく湾曲するが、堤防はない。「最上川舟唄発祥の地」の石碑もある同地区は、舟運文化の地として国の「重要文化的景観」に指定されており、景観に配慮しているためだ。

その結果、旅館は2020年7月に床上浸水し、約3か月の休業を強いられた。災害を機に、堤防を作る計画の住民向け説明会などが進められていたが、2022年8月、再び目の前で最上川の水があふれた。

移転地の整備進む

床上浸水した館内は泥だらけになり、温泉をくみ上げるポンプも故障。約1か月の休業を余儀なくされた。館内の壁には、今も浸水した水位を示す2本の線がくっきりと残る。

国土交通省山形河川国道事務所が進める計画では、堤防は2027年度までに完成する予定だ。同地区の内陸部には、町によって住民の移転用地の整備が進められている。

思い出がつまった旅館、廃業へ

1978年から営業する旅館は、堤防工事が進み、立ち退くタイミングで廃業するつもりだ。館内の1階には、同地区で昭和30年代、屋形船で川下りを楽しむ男女の姿を収めたモノクロ写真が飾られている。

思い出が詰まった旅館を閉じることへの心理的な抵抗はあるが、柏倉さんは「とにかく不安のない日々を送れるようになりたい。なるべく早く堤防を完成させてほしい」と複雑な心境を明かした。

写真説明:最上川で屋形船を楽しむ様子が収められた昭和30年代の写真(山形県大江町左沢で)

この記事をシェア

記事一覧をみる

防災ニッポン+ 公式SNS
OFFICIAL SNS

PAGE
TOP