施設の高齢者避難、訓練で浮き彫りになる時間、立地、人手の課題

写真説明:2022年10月の介護老人保健施設「美の里」での避難訓練で、利用者役を送迎車に乗せる職員たち=「美の里」提供

重なる風水害 山形県の復旧と課題(中)

2022年8月の記録的大雨では、川西町や米沢市などで、11か所の高齢者施設が床上浸水や断水などの被害に遭い、各施設は利用者の避難誘導に追われた。

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水田から水…平屋建てで垂直避難できず

このうち、飯豊町椿の介護老人保健施設「美の里」には、施設隣の水田と水路からあふれた水がサッシの隙間から施設内に流れ込み、最大で10cmほど浸水した。

平屋の同施設では上層階への「垂直避難」ができなかったため、施設内の大会議室に利用者を集め、入り口に布団やタオルを土のうのように積んで室内への浸水を防いだ。

同施設の山口努事務長(58)は「浸水が10cmではなく、1mだったら利用者は助からなかった」と深刻な表情で振り返る。

近隣施設へ初の避難訓練

この豪雨の教訓を生かそうと、同施設では2022年10月、利用者を斜め向かいにある町民総合センター2階へ避難させる想定の訓練を初めて実施した。施設職員2人を入居者に見立て、普段生活する居室から車いすで送迎車に乗せ、車でセンターへ移動し、エレベーターで2階まで避難するのにかかる時間を確かめた。

想像以上に時間がかかった

施設とセンターの距離は約200mだが、2人を避難させ、施設に職員が戻るまでにかかった時間は17分。施設の入居者の定員は30人で、通所利用者も含めると避難に支援が必要な高齢者は最大60人に上る。

訓練の結果を踏まえ、山口事務長は「思った以上に時間がかかった。昨年のような水害が起きた時には、手遅れとならないように、逆算して避難を始めないといけない」と引き締めた。

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