写真説明:実証実験で使用した3種類のGPS機能付き救命胴衣(宮城県南三陸町で)
津波で流された人の早期救出目指す
津波で沖に流された人の早期救出を目的に、宮城県南三陸町と民間企業が連携してGPS(全地球測位システム)機能付き救命胴衣の開発を進めている。2023年10月には同町沖などで実証実験が行われた。東日本大震災で多数の犠牲者を出した同町職員の発案で、今後の実用化を目指す。
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東京の民間企業と連携
災害時支援サービスを提供する「ガーディアン72」(東京)を主体に、通信システムを開発したソニーの関連会社が協力。津波発生時、個人識別可能な発信機を付けた救命胴衣を着用することで、仮に流されたとしても位置情報を警察や消防、海保などと共有し、早期発見・救助につなげる。
3種類の救命胴衣で検証
実証実験では発信機を別々の位置に付けた3種類の救命胴衣を準備。着用したダイバーが沖合5km地点で海に入り、役場庁舎に設けた受信機で位置情報を取得、現場に急行できるかを検証した。
役場では位置情報を画面で表示。発信機が水中に潜った際に通信が一時不安定になる場面もあったが、おおむね正確な情報を把握することができた。スマートフォンに位置情報を表示させることも可能という。
写真説明:GPS機能付き救命胴衣から発信された位置情報を確認する有馬社長
「第一段階は成功」
ガーディアン72の有馬朱美社長は「通信は問題なくできた。今後は救命胴衣の形状や素材などの検討を重ね、災害時に全国の自治体で活用できるシステムとして開発したい」と話した。
佐藤仁町長は「第一段階としては成功。震災の教訓を踏まえ、一人でも多くの命を守るために活用できれば」と期待した。今後、実験データなどを関係機関に提供し、実用化を後押しするという。
(読売新聞 2023年10月7日掲載)
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