写真説明:ベトナム語で記された宮崎県都城市の防災マップ。洪水浸水想定区域などが色づけされ、自分の居場所と合わせて避難所なども表示される
人の翻訳に比べ大幅に時間短縮
避難情報や災害情報を外国人に速やかに伝える取り組みが自治体で進む。データを自動入力するソフトウェア型ロボット「RPA」や人工知能(AI)を活用したメール配信が始まり、自動翻訳機能を使うなどした情報発信も拡大している。いずれも多言語の文章を作って瞬時に広められる手法で、人が翻訳して防災メールとして送信する従来型に比べて大幅な時間短縮が期待できる。
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浜松市は従来、外国籍住民に3言語でメール送信
人口の3%を超える約2万7000人の外国人が暮らす浜松市ではこれまで、津波警報などの情報を市国際課の職員が英語、ポルトガル語、ふりがな付きの「やさしい日本語」の3言語に翻訳して外国籍住民にメール送信してきた。
翻訳に時間を要し、土砂崩れで犠牲者が出た2023年6月の大雨では、緊急避難場所が増えるたびに情報更新で6人の職員が交代で翻訳作業に追われた。市内には氾濫を繰り返してきた天竜川があり、南海トラフ巨大地震による被害も想定される。
RPAシステムに切り替え
市は2023年9月、大規模災害が発生すれば対応しきれないとしてRPAシステムの運用に切り替えた。避難指示の発令や避難所開設などを知らせる約70パターンの定型文と、河川や避難所などの固有名詞約1100語を事前に登録しておくと、5分程度で災害情報に応じた多言語版の文章が作成できる。防災メールの登録外国人は約700人。浜松国際交流協会のフェイスブックにもアップされ、瞬時に情報を広められるという。
■浜松市の外国人向けRPAシステムの流れ
神奈川県綾瀬市は民間の翻訳サービス活用
神奈川県綾瀬市は民間の自動翻訳サービスを活用。防災メールの配信を6か国語に対応させ、定型文と避難場所などの固有名詞を登録しておき、AIで自動翻訳している。