災害ボランティアの受け入れ調整サクサク!茨城県社協に新システム

(茨城県社会福祉協議会提供)

受け入れ可能数に応じて来援者数を抑制できる

情報通信技術(ICT)の活用で、災害ボランティアの受け入れを円滑に――。茨城県社会福祉協議会などは2021年10月、被災地のニーズや受け入れ能力に応じて来援者数を抑制できるシステムを導入した。来援者が多すぎると受け付けに手が回らず、かえって負担が増えかねない。システムでは、一定数のボランティアだけに活動案内を出すといった運用が可能で、人数を適正規模にできる。

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新システムの仕組みと調整する内容

システムは「いばらき型災害ボランティアセンター運営支援システム」(アイボス)。ボランティアは事前登録されており、県社協や市町村の社協は必要な人数に絞って、復旧活動などへの参加を呼びかけられる。地元居住者に限定した案内もできる。

システムでは、地図に活動状況が色分け表示される。青は「完了済み」、オレンジは「対応中」、ピンクは「未対応」といった具合だ。ひと目で様子が分かり、支援の漏れやムラをなくすことができる。

写真説明:色分けした活動状況のイメージ画像(茨城県社協提供)

それぞれの社協は、サイトを閲覧することで情報を共有でき、協力態勢をスムーズに構築できる。被災者の細かなニーズに対応した調整も容易になる。

新システムを導入した背景

2019年10月の台風19号では、県内5か所で災害ボランティアセンターが設置された。県社協によると、一斉に訪れたボランティアで行列ができ、受け付けや作業の手配などで約1時間を要したケースもあった。書類でのやりとりが中心だったという。個人情報が記載された書類が、紛失するリスクもあった。

写真説明:台風19号では大勢のボランティアが活動した(2019年10月、水戸市内で)

県社協は、この経験を教訓に対策を検討。県やIT企業「サイボウズ」(東京)と共同で、ICT活用のシステムを開発した。

ボランティア希望者側にもメリット

ボランティア希望者にもメリットがある。現地の災害ボランティアセンターで、活動指示書に印刷されたQRコードをスマートフォンで読み取れば、活動場所の地図の確認や活動報告をオンラインで行える。紙の印刷や手渡しなどの手間が省けるという。

県社協福祉のまちづくり推進部の中村英一部長は、「コロナ禍で従来のような災害ボランティアセンター運営は難しい」と指摘する。システムの活用で、受け入れ時に来援者が殺到する事態を防げれば、受け付け時の「密」な状態を回避でき、感染防止対策にもつながる。

県社協は2021年10月、各市町村の社協職員らを対象にオンラインでの研修を始めた。県内4か所でタブレットを使って、操作習熟の訓練も行うという。

中村部長は「システムを活用した円滑な運営で、被災者を迅速に支援していきたい」と話している。

(読売新聞 2021年10月16日掲載)

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