企業の防災のキホン!備蓄のポイント 立地条件別必要なモノと量

企業においても家庭においても、防災対策で最優先すべきは「命を守る準備」です。建物の耐震化、大型家具・家電の固定、避難の準備など、災害の直後に命を失うことを避ける準備を最初に行います。その後、企業であれば事業継続のための防災対策、家庭であれば被災生活の準備など、命が助かった後の準備を行います。

社会インフラおよび災害時の初動体制が整えられている日本の場合、食料備蓄が少なかったために災害で餓死するといった可能性は低いのですが、避難所における災害関連死、冬場の凍死など、防災備蓄が生死を左右することはあり得ます。本記事では、企業や事業者が防災備蓄を行うにあたり、確認いただきたいポイントについて解説します。

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企業に防災備蓄品が必要な理由

企業が防災備蓄品を用意する目的は、大きく分けると「事業継続の環境を整える」ことと、「従業員や顧客の生命を守る」ことの2つに分けられます。具体的に見てみましょう。

事業継続・復旧に必要な防災備蓄品

人が仕事をするためには、最低限の環境が必要です。この場合の最低限というのは文字どおりの言葉であり、具体的には照明・空調・トイレ・飲食物・移動手段といったレベルのものを指します。しかし、災害によりライフラインが停止すると、これら最低限の業務環境を維持することができなくなります。そのために「防災備蓄」による代替準備が必要となります。

特に、社会インフラに関連する業界では、ライフラインが停止する状況においても迅速な業務再開が求められます。ですから復旧活動や暫定業務を行うための「最低限の環境」を整えるべく、これらの防災備蓄品が必要となります。

従業員の「帰宅しなくてもいい環境」に必要な防災備蓄品

事業所やオフィスが都市部にあり、従業員の多くが鉄道を始めとする公共交通機関で通勤している場合、大規模災害で鉄道などが停止すると、大量の「帰宅困難者」が発生します。さらに大規模災害直後の都市部は、余震による落下物・大規模な延焼火災・群衆雪崩などが生じる危険な場所となります。

この状況下において徒歩で帰宅しようとすると、大勢の死傷者が発生することが想定されています。しかし、オフィスや事業所に防災備蓄品がなければ、その場にとどまることができず、無理にでも帰宅せざるを得なくなります。

そのため防災備蓄品を準備し、屋外の安全が確認できるまで従業員がその場にどどまっていられる環境にしておくことが必要になるのです。

法律や条例の問題、訴訟の回避という目的も

日本はいつでもどこにでも大地震が発生し得る国であり、安全な地域というものは存在しません。また各種ハザードマップの整備が進められるにつれて、多くの災害は「想定内」のものになりつつあります。このような状況において、必要な防災対策を怠り、災害時に社内で被害が発生した場合、「想定外だった」では通じない可能性があります。

必要な対策を怠って従業員や顧客に死傷者が出た場合は遺族から、BCPが不十分で業務上の損害を出した場合は取引先や株主から、それぞれ訴訟を起こされてもおかしくないのが現状です。そのため、想定されている災害に対しては、最低限必要な防災対策・防災備蓄を行い、事業継続と従業員や顧客の生命を守るための準備が必要になります。

企業が準備すべき防災備蓄品の種類と量

ここから、多くの企業が防災対策の前提として必要となる「従業員が帰宅しなくてもいい環境にするための防災備蓄品」の詳細について解説します。

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