写真説明:「農協の飲めるごはん」をPRするJA北大阪の木下昭男組合長(中央)ら
ジュース感覚で水分・栄養ともに補給可能
JA北大阪(大阪府吹田市)の「農協の飲めるごはん」はジュースのような感覚で口にでき、長期保存も可能な穀物飲料だ。手軽に水分と栄養補給を兼ねられる利便性から「誰でも飲める非常用飲料」として評価を高め、累計販売数は20万本を超える。
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「もうかる農業」実現という課題に向き合った
開発のきっかけは2016年の農協法改正だった。「農協は農家の所得向上に努めること」と定め、「もうかる農業」をどう実現するかが課題になっていた。
JA北大阪は大阪府吹田、摂津両市が管内の「都市型」農協だ。住宅地として人気が高く、農地は農家1戸あたり平均約0・1㏊と全国平均(3・2㏊)を大きく下回る。危機感を募らせた組合長の木下昭男氏は「就農人口を増やしたり、耕作面積を広げたりする規模の拡大は難しい。商品価値を高めることで農家の所得を上げられないか」と考えるようになった。
災害備蓄品の穀物飲料なら…
目を付けたのが、阪神大震災を機に兵庫県内の企業が災害備蓄品として開発したもち米などを原料とする穀物飲料だ。木下組合長には「原料を地元の米に切り替えれば、農家の安定した収益源になる」との読みがあった。
この企業が販路拡大などに苦しんでいたこともあり、情報交換を進め、2018年2月には、製造に関する特許技術などを譲り受けた。