広がる災害時の停電対応!「脱炭素」製品増え導入も相次ぐ

(NTN提供)

災害多発や「脱炭素」の流れが後押し

災害時に、いかに電源を確保するか。東日本大震災以降も地震や豪雨による停電が相次ぐ中、この課題に応えようとする製品が増えている。世界的な流れとなりつつある脱炭素にもつながるとして、自治体や企業を中心に導入する動きが広がっている。

こちらの記事も読まれています→災害時の停電に「水素」と「船」で電力をまかなう

企業・自治体の実績多数

風車と太陽光パネルがついた街路灯

ベアリング大手のNTN(大阪市)が開発した街路灯は、風車と太陽光パネル、蓄電池を備えている。普段は風力と太陽光で発電しながら点灯し、余った電気は蓄電池にためておく。停電時には、この蓄電池を非常用電源として利用できる。

写真説明:停電時に電源として利用できるNTNの街路灯=同社提供

北海道地震のブラックアウトで

2016年の発売後、奈良県桜井市や岡山県赤磐市などの自治体や企業が計300基以上導入した。すでに災害時に活躍した実績もある。2018年9月の北海道地震では、道内のほぼ全域が停電となる「ブラックアウト」が起きたが、導入した企業は従業員のスマートフォンを充電するのに役立てることができたという。

写真説明:北海道地震で停電が起きた札幌市内(2018年9月)

脱炭素に向けた機運が高まっていることも導入を後押ししている。
NTNの担当者は「風力と太陽光で発電するため、災害時の備えとしてだけではなく、脱炭素の取り組みの一環で設置を検討したいという問い合わせも増えている」と話す。

非常用電源のEV活用加速で

非常用の電源として、電気自動車(EV)を活用する動きも加速している。

写真説明:燃料電池車から電力供給する訓練が行われた徳島県の総合防災訓練(2021年9月1日)

EVから建物に電気を送る装置

チェーン大手の椿本チエイン(大阪市)は、EVにためた電気を建物に効率的に送ることができる装置を手がけている。停電時、EVから避難所やオフィスに電気を供給できるようになり、自治体を中心に約200基が導入されている。担当者は「この装置とEVの普及が進めば、地域の災害対応力も強まるはずだ」と期待する。

停電時の浸水被害に対応する

浮力で立ち上がる止水板

停電に見舞われた場合でも、台風や豪雨に伴う浸水被害を防ぐ装置も生まれている。建材メーカーの文化シヤッター(東京)が開発した止水板「アクアフロート」は、周囲の水位が上昇すると、浮力で板が自動的に立ち上がる仕組みだ。豪雨被害が相次ぐ広島市が18年に庁舎に設置するなど、これまでに全国で約100件の導入事例がある。

長期停電への備え「足りない」

伊藤忠商事が2022年3月7日に発表した「在宅避難と停電」に関する調査によると、インターネットを通じて尋ねた全国の25歳以上の男女1000人のうち、何らかの防災対策を講じていると答えた人が8割近くいる一方、「長期・大規模停電を想定していない」は5割超に上った。停電時の備えが「足りない」とした人も8割を超えた(=図)。

説明:※伊藤忠商事の調査に基づく

防災意識は高まっているものの、停電への備えはそれほど進んでいないのが実情だ。

(読売新聞 2022年3月10日掲載 経済部・寺田航)

<関連する記事はこちら>
災害の停電にEV活用。メーカーと自治体の協定続々

この記事をシェア

記事一覧をみる

防災ニッポン+ 公式SNS
OFFICIAL SNS

PAGE
TOP