被災した仙台城や熊本城の修復!文化財レスキューの活動を探る

写真説明:地震で崩れた仙台城の石垣(2022年3月17日、仙台市で)

被災した文化財・文化施設の専門家

最大震度6強を観測した2022年3月の福島県沖地震で文化財・文化施設などの被害が報告される中、専門家による「文化財レスキュー」の活動が本格化している。

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3月の地震の被害状況

文化庁によると、2022年3月の地震では4月7日までに岩手・宮城・山形・福島・茨城・千葉の6県で149件の文化財被害が確認されている。石垣が大きく崩れた国史跡・仙台城跡(仙台市)や、重要文化財の拝殿の石段の割れなどが見つかった相馬中村神社(福島県相馬市)などが被害の大きさを物語る。
特に宮城・福島両県では2021年2月にも最大震度6強を観測しており、11年前の東日本大震災で被災後、修復された文化財が、繰り返し破損するという憂き目に遭った。

宮城県角田市郷土資料館の場合

宮城県角田市の市郷土資料館の建物は、明治から大正期までの大地主の邸宅「旧氏丈(うじじょう)邸」で、同市の指定文化財。しかし、2021年2月の地震で敷地内の蔵のしっくい壁に亀裂が入り、2022年3月の地震はその修復中に起きた。

写真説明:地震で被災した角田市郷土資料館(同館提供)

「もう少しで修復が完了する予定だったが、計画見直しを余儀なくされた」と、齋藤彰裕館長は落胆する。休館中の館は大型連休の再開を目指していたが、展示室としても利用していた蔵の公開は当面見合わせる。

文化財レスキューから文化財防災センターへ

東日本大震災の時、破損した文化財が運び出された後、専門家が劣化を防ぐ応急処置を行ったり、修復のための助言を行ったりする「文化財レスキュー」が注目された。その体制を強化するため、2020年に国立文化財機構「文化財防災センター」(本部・奈良市)が設置された。

同センターは常設の公的機関としての強みを生かし、被災地域への専門家派遣や近隣自治体からの支援の調整など迅速な初動対応を目指す。2020年10月の発足後、球磨川(熊本県)氾濫で被災した紙資料の修復にも携わった。

関係機関との連携強化

2022年3月11日、同センターは日本建築学会、日本建築士会連合会、日本建築家協会、土木学会と協力協定を締結した。専門機関が連携し、歴史的建造物の被災確認の組織的な実施や防災手法の速やかな情報の共有が目的だ。指定文化財に限らず、宮城県201件、福島県262件と数が多く実態が把握しにくい登録有形文化財の保護も視野に入れた調査体制を整える。

修復から防災へ

すでに福島県で被害調査を行い、2022年3月の地震で破損した神社の灯籠など文化財修復に関する相談を受けている。地元関係者の知見を生かし、他の文化財に応用できる防災手法の構築も目指す。

写真説明:壁に亀裂が入った「旧伊達郡役所」(福島県桑折町)を調査する専門家ら(文化財防災センター提供)

「センターは文化財被害の『ワンストップ・ステーション』。自治体や文化財の所有者の要望に応じて、迅速な対応を目指したい」と、小谷竜介・文化財防災統括リーダーは強調する。

文化財被害対応の課題

ただ、課題もある。国指定文化財では、修理規模などに応じて最大85%の補助を受けられるが、未指定の文化財については修復費用は所有者の負担が大きくなる。そのため、破損後に災害ごみとして廃棄されるケースが、東日本大震災や熊本地震でも報告されている。

宮城・福島両県の研究者らで構成する有志組織「宮城資料ネット」「ふくしま史料ネット」はそれぞれ、自治体との連携により、こうした未指定を含む文化財の救出に力を入れる。2022年4月には、両ネットの研究者が共同で福島県南相馬市の民間所蔵の文化財を調査。古文書や仏像の所有者を一軒ずつ訪ね、地震による被害がないか聞き取った。

宮城資料ネットに所属する川内淳史・東北大准教授は「文化財を一時的に預ける場所や、応急処置が可能な専門家などをネットワークの人脈を生かして紹介することもできる。地域の貴重な財産を残すため、被災した文化財の扱いに困ったことがあれば何でも相談してほしい」と呼びかける。

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