自治体の罹災証明発行にスマホで革命!トラクタブルのAI技術の可能性


(画像提供:トラクタブル株式会社)

近年、日本国内では台風や豪雨などの自然災害が激甚化し、家屋損害の被害が増えています。被害状況の把握に時間を要する中、スマートフォンで撮影するだけで損害の程度を判断できる技術が注目されています。

開発したのは英国のAI(人工知能)企業「Tractable(トラクタブル)」。大手損害保険会社で導入が進むこのシステムについてトラクタブル 日本カントリーマネージャー兼APAC統括責任者の堀田翼さんに話を伺いました。

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スマホでの算定システムは損保で導入済み

――スマートフォンで損害を算定する仕組みについて教えてください。

建物の壁面や屋根といった損害箇所をスマートフォンのカメラで撮影して送信してもらうと、AIが事前に学習した膨大な損害データをもとに、損害額を算定します。2021年から日本の大手損害保険2社で実際に台風被害の算定等で使われています。海外でも2022年中に複数の国で実証実験が始まる予定です。

もともとこの技術は、自動車事故の車両画像から損害査定額を算出するシステムで、すでに使われているものです。損害保険会社の世界上位100社中、30社ほどで導入されています。

――迅速な状況把握が最大の利点ですね。

被災して保険金を請求する際、これまでは被害状況の写真、保険会社が指定する保険金請求書、修理工事を行う業者からの見積書を郵送する必要がありました。災害が大規模であれば審査だけで数週間、保険金支払いまで数か月かかります。修理や修復が終わるのは場合によっては半年もかかるのが現状です。

私たちは、撮影された写真とAIの技術を使ってオンライン上で査定が完了し、保険金支払いまでの日数を数日にまで短縮することを目的としてシステム作りに取り組んできました。被災した契約者にとっては生活に必要な資金として保険金が即座に支払われますし、工事の着工もスムーズになりますので、社会的にも意義がある技術と考えています。

アプリが撮影方法をリアルタイムで助言

この技術の優位性の一つは、査定などその道のプロの方が現場に立ち会わなければできなかったことを、誰でもできるようになる点です。ウェブ上のアプリを通じて、例えば「こういう角度からこういう写真を何枚撮って」「この角度ではだめです」など、この技術によってAIがリアルタイムで撮影方法を伝えられるようになります。

現在、クライアントは損害保険会社が中心ですが、自治体でもこの技術を活用していただきたいと思っています。

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