南海トラフ地震対応で津波避難用全26施設完成!宮崎県沿岸7市町

津波被害が想定される日向灘沿岸7市町で最後の1つ完成

津波被害に備え、日向灘沿岸の宮崎県延岡市土々呂町3に同市が整備していたタワー型の避難施設(=写真、収容人数約380人)が2022年3月に完成した。宮崎県内では南海トラフ巨大地震による津波で「避難困難地域」となる恐れがある沿岸部の7市町で、県や市町が26か所の避難施設の整備を進め、今回の施設でその全てが完成した。

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延岡市にできたタワー型避難施設

延岡市土々呂町3の施設は鉄骨鉄筋コンクリート造2階層で、土々呂漁港から約200m離れた場所に整備された。この場所は津波により最大で深さ9mの浸水が想定されており、住民は階段を上って高さ12・4mにある屋上フロア(約190㎡)に避難できる。

施設から半径480m内に暮らす住民の利用を想定している。屋上より下の2階部分は備蓄倉庫、1階部分には防災学習室を設けている。事業費は約6億7020万円。

写真説明:完成したタワー型の津波避難施設。階段を上って屋上フロアに避難する

南海トラフ地震発生時の被害想定

発生が懸念される南海トラフ巨大地震は、県の想定では最悪の場合、日向灘に面する県内10市町に最短14~21分で最大17mの津波が押し寄せ、死者数は約1万5000人に上る恐れがある。

7市町に「避難困難地域」

県内では2011年の東日本大震災後、津波が来た際に逃げるのが難しい「避難困難地域」の推定を各市町が実施。近くに高台などがある門川、都農、川南の3町を除く沿岸7市町の一部地域にこうした地域があると見込まれている。

並行して県と各市町は7市町で計26か所の津波避難施設の整備に着手。宮崎港エリア(宮崎市)に県が整備した高台(=写真)3か所など、2020年度までにうち25か所が完成していた。

◆避難困難地域解消に向け整備された津波避難施設の数

※門川、都農、川南各町は避難できる高い場所があり、整備されていない

26か所目の竣工式

最後の1か所となった延岡市土々呂町3の施設では2022年4月に竣工(しゅんこう)式が行われ、土々呂地区区長会の河野時徳会長が「津波の心配が絶えない地区に完成した待望の避難タワー。施設を活用した訓練、講話を通じて防災意識を高めたい」と話した。読谷山洋司市長も出席し、「いざという時に命を守り、逃げ遅れゼロにしよう」と住民らに呼びかけていた。

宮崎市では26か所とは別に、ひなた県総合運動公園内にも公園利用者ら向けに、県が2021年度末までに鉄筋コンクリート造りのデッキなどの津波避難施設を整備している。

(読売新聞 2022年5月10日掲載 延岡支局長・小川哲雄、宮崎支局・金堀雄樹)

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