モバイル建築を防災拠点に!三重・南伊勢町DMATとの連携想定

写真説明:ユニット10個を連結した2階建ての施設(手前)と宿泊施設(南伊勢町で)

町立南伊勢病院の駐車場に設置

コンテナ状の木造ユニットを連結した建物で、迅速に移築できる「モバイル建築」の滞在型多目的施設が、三重県南伊勢町立南伊勢病院の駐車場にお目見えした(=写真)。普段は住民の会合などに使われ、大規模災害時には防災拠点に転用できる。町は今後、施設を使った防災教育などを進める。

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モバイル建築の仕様

高さと幅2・4m、長さ12mの木造ユニットを14個使用。うち10個は、5個を連結したものを2組つくり、積み上げて、2階建ての集会施設にした。

会議室、キッチン、風呂などを備え、体験教室や研修、地域イベントなどに活用できる。残り4個のユニットのうち、2個は内部を4部屋に区切って宿泊室に仕上げ、2個は洗濯室やシャワールームなどにした。

南海トラフ地震の被害想定

南海トラフ巨大地震で、同町は最大約22mの津波が想定され、施設が置かれた病院駐車場は海抜約90mの高台にある。病院は被災時、この施設を防災拠点として、災害派遣医療チーム(DMAT)を展開することなどを想定している。

コンテナ状の木造ユニットは、住宅メーカー「一条工務店」が、企業版ふるさと納税を活用して提供した。同社によると、茨城県境町の2施設に次いで3例目という。

写真説明:茨城県境町にあるモバイル建築の施設(2022年2月撮影)

大災害が起きた時の住宅需要

2011年の東日本大震災では、大量のプレハブの仮設住宅が必要になったが、全て完成するまでに8か月かかった。南海トラフ巨大地震では、より多くの仮設住宅が必要になり、より時間がかかるとみられる。

モバイル建築の特徴

そこで注目されているのが、モバイル建築。普段は様々な用途で使われることで、各地に「備蓄」され、災害が起きれば、ユニット単位に分解して被災地に運び、迅速に組み立てることができる。

南伊勢町がモバイル建築に寄せる期待

三重県南伊勢町の人口は約1万1000人。14年の県の被害想定によると、南海トラフ地震での死者数は最大で約4割の約4400人と、甚大な被害が予想されている。

また、町内にはホテルなどの宿泊施設がほとんどなかったため、施設には交流人口の拡大にも期待が寄せられている。12日の完成披露式で、上村久仁町長は「町民の命と生活を守るとともに、町を活性化させる施設にしたい」と話した。

(読売新聞 2022年5月13日掲載)

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