現役最古!大正の面影残す名古屋気象台…100周年記念サイト開設

伊勢湾台風にも耐えた白亜の建物

名古屋地方気象台(名古屋市千種区)が現在地で業務を始めてから2023年で100年となった。本庁舎は大正ロマンを感じさせる白亜の建物(=写真=)で、今も使用されている気象台の庁舎としては国内最古という。伊勢湾台風(1959年)などの災害にも耐え、気象観測が継続されてきた貴重な建物だ。

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創設は19世紀

同気象台は1890年7月に、愛知県営の名古屋一等測候所として当時の名古屋市南武平町(現中区)に創設された。その後、1922年末に現在地に新しい本庁舎が完成。1923年1月から業務を開始した。

屋根の上に木造の「測風塔」

本庁舎は鉄筋コンクリート平屋建て、面積約480㎡。屋根の上には「測風塔」と呼ばれる木造の小屋が載せられている。塔内には建設当時の木造階段などがそのまま残り、屋上には風が吹くとプロペラが風上を向いて回る風向・風速計が設置されている。

写真説明:上部に設置された測風塔が特徴の名古屋地方気象台本庁舎(名古屋市千種区で)

写真説明:測風塔に今も残る建設当時の木造階段

明治、大正時代の気象台は、木造洋風建築の上に風向・風速計を設置する台を載せた建物が多かったが、昭和以降は関東大震災(1923年)の影響もあり、耐震や防火を考慮して鉄筋コンクリートの建物が主流になった。

同じ場所で観測を続けてきた意義

本庁舎は標高約50mの小高い丘の頂上付近に立ち、周囲は住宅街になっているが、移転当時は雑木林に囲まれ、民家はほとんどなかったという。担当者は「同じ場所で100年間、観測を続けていることで、データの均質性が保たれ、大変貴重な観測データになっている」と話す。

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