説明:2020年の九州豪雨で発生した線状降水帯の雨域(気象庁の資料から)
レーダーの高機能化で可能に
短時間に大雨をもたらす線状降水帯について、気象庁が観測・予報の強化を図っている。2022年から「発生の可能性」を半日前に知らせる予報を始めたのに加え、2023年5月25日からは実際に観測したことを知らせる発生情報の発表を最大30分前倒しする運用がスタート。発生からごく短時間で洪水や土砂災害が発生するケースが多いためで、3年後にはさらに2~3時間前倒しを目指す。
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線状降水帯とは
線状降水帯とは、積乱雲が帯状に連なって大雨を降らせる現象だ。気象庁によると長さ50~300km、幅20~50km程度に連なり、梅雨前線や台風の付近で発生しやすい特徴がある。2018年の西日本豪雨や2020年7月の九州豪雨で大きな被害をもたらした。
これまでの発表基準
気象庁の線状降水帯の発生情報(顕著な大雨に関する気象情報)の発表は2021年から始まった。▽3時間雨量が100mm以上の区域が500平方km以上にわたる▽区域内に3時間雨量が150mmに達した場所がある――などが観測されることを基準とし、おおむね都道府県単位で発表される。
基準満たす前に発表する方式に
2023年5月25日からは、この基準を変更し、条件を満たしていなくても、気象庁が30分以内に条件を満たすと判断した段階で発生情報として発表する。
全国に全20か所ある気象レーダーの高機能化で、雨の強さをより正確に把握・予測できるようになったためで、発表のタイミングは現状より10~30分早くなる見通しだ。
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