噴石や火山灰…避難場所を確認しておく必要
登山シーズンが本格化しているが、登山時に突然噴火が発生した場合、噴石や火山灰などで命に危険が及ぶ。事前に火山防災マップなどで情報を収集し、噴火時の被害想定範囲、身を隠すことができる避難場所などを確認して、身の安全を図る対応を考えておく必要がある。
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架空のシナリオで考えておきたい。
シナリオ1 気分高揚 軽装で出発
東京都に住む会社員の太郎(45)は登山が趣味だ。週末、甲信越にある、登山客に人気の活火山に一人で出掛けた。
過去に登った経験はない。登山前、念のため、気象庁のサイトで噴火警戒レベルを確認すると、最も低い「1」だった。「特に問題ないだろう」。空が晴れ渡り、気分が高揚して軽装備で出掛けた。登山道付近の避難場所などを調べることもしなかった。
火口付近まで順調にたどりついた。岩に腰掛け、景色などを満喫していた時だった。
シナリオ2 突然大きな音…悲鳴も
ふと火口付近を見ると、噴き出す煙が増え、色が黒っぽく見えた。異臭を感じた。
「もしかして、噴火するのか?」。不安を感じて急いで下山することにした。すると突然、大きな音がした。恐る恐る、後ろを振り返ると、火口から大きな噴煙が斜面を流れ落ちていた。
「猛スピードで飛んでくる噴石が体に当たると危険だ」。過去の噴火時の惨事を思い出した。リュックでとっさに頭を覆い、偶然近くにあった岩陰に身をかがめてうずくまるしかなかった。悲鳴があちこちから聞こえた。
シナリオ3 安全な場所まで下山
しばらくして噴煙が少し収まった感じがした。身を隠していた周囲の人から「第2波が来るかも」「今のうちに下山しよう」と声があがった。
安全な場所まで下山し、落ち着きを取り戻すと、事前に登山の予定を伝えていた同僚の次郎(45)から、「けがはなかったか?」と安否確認の連絡があった。
その後のニュースによると、何人かの登山客が噴火に巻き込まれ、連絡が取れない人もいるらしい。「自分は運が良かっただけかもしれない」。活火山の登山の怖さを思い知らされた。
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