コロナ・家族に感染が疑われたとき自宅でどう過ごす?

手洗い・換気 基本が肝心

新型コロナでは実際、家庭内感染が増えている。症状が出る前でも人に感染させる恐れがあり、自宅での対策に気を配りたい。

「日頃から、負担にならない範囲でできるだけ取り組んで」。浜松医療センター(静岡県)の感染症内科部長、矢野邦夫さんは助言する。

帰宅後に手を洗う、家族間でタオルの共用を避けるといった基本的な対策を守ることが大切だという。ドアノブを定期的に消毒すれば、より安心感も得られる。せきなどの症状が出たら、家の中でもマスクをした方がいい。

換気にも注目したい。北海道大教授(建築衛生)の林基哉さんは、「自宅に24時間換気システムがある場合、電源がオンになっているか確認して」と話す。2003年施行の改正建築基準法で、原則全ての新築住宅に導入されているが、オフにしている人も。換気口がホコリで詰まっていないかもチェックしたい。

ない場合は常時、浴室や台所の換気扇を動かす。少しだけ窓を開けておく方法もある。「室温が下がりすぎると体調を崩す原因になる。換気を優先しながら、室温や湿度も保ってほしい」と話す。

→家族の支え合い

感染予防のため外出がままならない状況が続くと、ストレスがたまりやすい。家族間で普段以上にコミュニケーションを取り、仕事や学校での悩みなどを共有して支え合いたい。小さな子どもには状況をわかりやすい言葉で伝える。

遠方の老親とは会いづらくなる。頻繁に連絡して不安を和らげ、地元の信頼できる人に見守ってもらうことも検討したい。

→インフォデミック

感染症の流行時などには、偽情報が氾濫した状況が起きやすい。不安から正常な判断ができず、良かれと思って、真偽不明な情報でもSNSなどで拡散させてしまうからだ。インフォメーション(情報)とエピデミック(流行)を合わせ、インフォデミックと呼ばれる。情報が正確か国や自治体のサイトなどで確認し、真偽が分からなければ、決して人に伝えない。

→差別・偏見対策

自分もいつ感染するかわからない不安から、感染者や家族らへの差別の感情が生まれやすくなる。新型コロナでも、患者や医療従事者に対する中傷、県外ナンバー車への嫌がらせ行為が起きた。

感染予防に努めている人ほど、感染した人を許容しにくくなる点にも注意したい。感染しうるという意味では誰もが同じ立場だと、共感することが大切だ。

(読売新聞 2020年12月16日掲載 「防災ニッポン 感染症」生活部・崎長敬志、福島憲佑、山村翠が担当しました)

無断転載禁止

この記事をシェアする

オススメ記事

新着記事

公式SNS