津波で逃げるときは徒歩が基本、安易に戻ってはダメ

写真=津波警報が出され、道路は内陸へ向かう車で渋滞した(2012年12月、宮城県石巻市で)=横山就平撮影

「最悪」想定 渋滞を回避

速やかに逃げるのが、津波発生時の大原則だ。「率先して避難するという意識を持ってほしい。周囲の人が避難するきっかけにもなる」。東京大特任教授の田中淳さん(災害情報論)は訴える。

海の近くで大きな揺れや小さくても長時間続く揺れを感じるか、ニュースやスマートフォンの防災アプリなどで津波警報などを見聞きするかしたら、緊急避難場所の高台などを目指す。震源が陸地に近い場合、警報が津波の襲来に間に合わない可能性があり、逆に震源が遠いと、揺れを感じない場合があるためだ。

気象庁は、大津波警報や津波警報では直ちに高台などに避難し、津波注意報では海の中にいたらすぐに上がって海岸から離れるよう呼びかける。「この程度の揺れなら大丈夫などと過去の経験で判断せず、最悪のケースを想定して逃げる勇気を」と田中さん。

徒歩が避難の基本だ。車での避難は渋滞の原因や徒歩避難の妨げとなる恐れがあり、2011年の東日本大震災でも混乱を招いたとされる。静岡大防災総合センター特任教授の岩田孝仁さん(防災学)は「家族に徒歩避難が難しい高齢者や障害者がいたり、避難場所が遠く、どうしても間に合わなかったりする場合を除き、車は避けて」と指摘。高齢者らと避難するために車いすを準備しておくことや、住民同士で車に乗って台数を減らすなど、渋滞につながらない工夫を地域で話し合っておくことを提案する。

車の運転中に津波が発生した場合も、できるだけ降りて徒歩で避難する。緊急車両の通行を妨げないよう車道外などに停車。エンジンを切って鍵を車内に置くなどし、ドアをロックせずに離れる。

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