写真説明:「被災者生活再建カード」は並べているうちに、生活再建のための支援制度への理解が深まる
津波災害で住宅などが被害を受ければ、それまでの日常が奪われ、生活再建の道のりは平たんではない。負担を和らげられるよう、何が必要か事前に知り、備えておくことが重要になっている。資金面から確認していく。
保険・預貯金 入念に確認
60代夫婦。南海トラフ地震による津波で木造2階建ての自宅は床上浸水の被害を受けるが、住み続けることを希望――。ボードゲーム形式で使う「被災者生活再建カード」は、こうした想定に基づき、被災後の生活再建で使える公的支援金などの制度を事前に学ぶものだ。
参加者は、想定した人物にとって望ましい生活再建を考え、ボードに記された「災害直後」「数か月後」といった時期ごとに、必要だと思う支援制度が書かれたカードを複数並べていく。カードには、都道府県が支給する「被災者生活再建支援金」や、市区町村の融資「災害援護資金」などのほか、義援金も書かれている。
静岡市の弁護士、永野海さんが2年前に考案した。2011年の東日本大震災の支援活動を行う中で、制度の情報を得るのに苦労する被災者を多く見てきたという。「事前の知識は身を守る道具になる。災害が起きる前から、生活再建について考えておくきっかけにしてほしい」と話す。カードを使ったワークショップが各地で開かれているという。
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