津波後の住宅再建は片付け前の写真撮影から!

写真説明:東日本大震災の津波で被災した家を片付ける女性(2011年4月13日、岩手県大船渡市で)=林陽一撮影

惨状にショック…気持ちの整理に時間がかかる

岩手県宮古市の主婦(66)の自宅は、2011年の東日本大震災で津波による床上浸水の被害を受けた。1階は一面が泥で覆われ、玄関前にがれきが散乱して、庭にも泥がたまっていた。「片付ければ住めるとは思った。でも、築5年ほどだったため、ショックですぐには手をつけられなかった」と振り返る。

高台の避難先から自宅に向かい、何もできずに戻ることを、数日間繰り返した。「一緒に片付けよう」と、自宅に被害のなかった知人が、シャベルなどを持って駆け付けてくれたことで、やっと気持ちが切り替わった。親戚らと片付けを始めたが、ぬれた畳を外し、床下の泥をかき出すといった作業は1か月半ほど続いたという。

発生が予想される南海トラフ地震などによる津波は、住宅に流失や損壊などの被害をもたらすが、程度によっては片付けや修繕などで住み続けられるケースも多いとみられる。国土交通省の調査では、東日本大震災の津波で被害を受けた住宅などの建物約24万棟のうち、約11万棟は修繕することで再利用できると判断された。気持ちの整理には時間がかかるが、被災者自ら住宅再建に向けて一歩を踏み出したい。

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