避難所開設などの判断にはきめ細かい情報が大切
雨量の予測を表すバーが最もリスクの高い「濃い紫色」に変わった。2020年7月6日夕、福岡県八女市役所で職員たちの目はパソコン画面にくぎ付けになった。
気象情報会社ウェザーニューズ(千葉市)の防災気象サービス。気象庁の予測より狭い範囲の降水予測がわかる。この時は、八女市の一部地域で数時間後に積算雨量が400mmを超えると予測されていた。
気象庁も同じ頃、福岡、佐賀、長崎県に大雨特別警報を発表した。八女市防災安全課の職員は「気象庁の情報と合わせて使えば、避難所開設や避難情報発令を判断する際の根拠がより明確になる」と語る。
写真説明:民間気象業者の情報も活用しながら防災行政にあたる福岡県八女市の職員
気象予報の民間サービスは30年前の6倍以上
民間気象業者は気象庁の情報に独自の観測データを加え、きめ細かなサービスを提供する。観光や衣料品販売など様々な分野で活用が進み、気象予報業務の許可を得ている法人などは127(2020年9月時点)と30年前の6倍以上に上る。近年は災害の頻発を受け、自治体の関心が高まっている。
最大手「ウェザーニューズ」気象庁を上回る観測網
「災害時の適切な判断を助けるのが使命だ」。ウェザーニューズ本社で、各地の気象状況をモニターで確認した社員の三浦英和さんは語った。業界最大手の同社は約250市区町村と契約する。「土砂崩れの恐れは」「避難勧告を出すべきか」。社員約80人が交代で24時間態勢で自治体などの質問に答える。
強みは、気象庁の地域気象観測システム(アメダス)を含む全国約1万3000か所に及ぶ観測網だ。気温や湿度のセンサー約3000か所も含まれる。独自の超小型衛星2基からの情報もある。
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