天気予報・土砂災害をピンポイントで予測したい

豪雨で63万か所ある「警戒区域」の1つが崩れた

狭い範囲での観測が必要な土砂災害の予測は、試行錯誤が続く。

熊本県芦北町伏木氏(ふしき)の土砂崩れ現場。2020年7月の九州豪雨で女性1人が住宅の下敷きになって亡くなった。

一帯は土砂災害警戒区域(※)に指定されていた。近所に住む70歳代男性は「一瞬のことで、現実とは思えなかった。この集落で安全な場所はないかもしれない」と不安を隠せない。

※<土砂災害警戒区域>

土砂災害防止法に基づき、都道府県が現地調査をし、土石流や崖崩れの恐れがある場所を指定する。指定されれば、ハザードマップ作成や避難態勢の整備が求められる。全国で62万6705か所(2020年6月末時点)が指定されている。

写真説明:九州豪雨で発生した土砂崩れ(2020年7月5日、熊本県芦北町田川で)

土砂災害警戒情報が出る仕組み

降雨で斜面の土壌の水分量が多くなれば、土砂災害発生の恐れが高まる。このため気象庁は、国内を1km四方に区切り、レーダーによる解析雨量などから土中に蓄積した水分量を「土壌雨量指数」として算出。2時間後までに災害が起きる危険性が高い場合、都道府県とともに「土砂災害警戒情報」を発表する。

ただ、予想通りの降雨量とならず、災害が起きないことも多い。逆に発表段階で雨が強まる場合もあり、その時点で避難が危険なケースもある。熊本地方気象台の大守貴之(たかし)土砂災害気象官は「データを蓄積し、予測精度を少しずつ上げるしかない」と語る。

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