スマホで避難所の「密」確認 防災と感染防止の切り札に

システムの流れ

自治体に広がる災害時の住民向けサービス

災害時に避難所の混雑状況を住民がスマートフォンなどで知ることができるサービスを導入する動きが、全国の自治体に広がっている。2020年9月の台風10号では新型コロナウイルス対策で定員を減らした避難所に住民が殺到し、受け入れを断られる事例もあった。梅雨に備え、自治体は「密」を回避する切り札と期待している。

台風10号がきっかけ

「昨年の台風の教訓を受け、導入を決めた。防災と感染防止を両立させる手段として活用したい」。2021年1月にサービスを導入した宮崎市危機管理課の担当者は力を込めた。

■サービスのイメージ画面
地図上のマークについて

説明:地図上の「人マーク」は避難所の位置を示し、数は混雑状況を表す。クリックすると、左側に混雑情報が表示される(バカン提供)

定員超過で移動を強いられた住民も

台風10号では、気象庁が接近前に「特別警報級の勢力」と呼びかけ、宮崎市は106か所の避難所を開設した。計約6000人が避難したが、21か所で定員超過となり、一部住民は他の避難所への移動を強いられた。

危機管理課職員が各避難所の職員に混雑状況を確認し、ホームページで発信したが、情報の更新は1時間ごと。実態にそぐわないケースもあり、「随時発信すべきだ」との意見が出ていた。

飲食店の混雑情報サービス会社が無償で提供

サービスはIT関連会社「バカン」(東京)が2020年6月、飲食店などの混雑情報を発信する目的で有料での提供を始めた。店側がパソコンやスマホで専用画面から「空いています」「やや混雑」「混雑」「満」の4段階で選ぶと、店名とともに表示される。

自治体へのサービスの提供は2020年8月、東京都多摩市から「避難所で使えないか」との提案を受け、始まった。同社が事前に避難所を登録。災害時に各避難所の職員が直接入力して混雑情報を随時更新する。住民は自治体のホームページなどから専用サイトを開けば、情報を確認できる。同社は、避難所のサービスは「人命に関わる」として無償で提供する。

■システムの流れ

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