熊本地震に学ぶ 命を守る住宅の地震対策は「等級3」

写真説明:熊本県益城町の中心部は2度目の本震で、家屋が軒並み倒壊した(2016年4月16日撮影)

2016年4月の熊本地震から5年。観測史上初めて震度7を2度記録した被災地では、「前震」後に避難先から帰宅し、2度目の「本震」で亡くなるケースが相次いだ。地震の教訓を生かし、首都直下地震や南海トラフ巨大地震にどう備えればいいのか。京都大生存圏研究所教授 五十田博氏(=写真)に聞いた。

震度7に2度見舞われた益城町の約2600棟を調査

日本建築学会のメンバーとして、甚大な被害が出た熊本県益城町の建物約2600棟を調査した。益城町は震度7の揺れに2度襲われたが、後で起きた本震の方が建物が倒壊しやすい強い揺れだったため、大きな被害を与えたとみている。

写真説明:熊本地震の前震直後の熊本県益城町の住宅街(2016年4月15日撮影)

写真説明:本震後の同じ住宅街。2度目の震度7の揺れで家屋が倒壊し、道をふさいだ(2016年4月16日撮影)

旧耐震基準と新耐震基準

調査では、震度5強程度で損傷しないことを求めた1981年以前の「旧耐震基準」で造られた建物の倒壊が顕著で、倒壊した木造住宅297棟の70%以上が旧耐震だった。震度6強以上でも倒壊しないとされた1981年策定の「新耐震基準」も約25%を占めた。

1995年の阪神大震災をきっかけに、震度7級の揺れでも倒壊しないよう、柱などの接合部に金具を用いて固定するなど対策を明確化した「2000年基準」が設けられた。だが、益城町内で2000年基準まで補強した住宅は少なく、改めて既存の住宅で耐震化が進んでいない現状を実感した。

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