熊本豪雨で水没・再建した施設で警察犬の訓練体験リポート

警察犬は災害現場や犯行現場に欠かせない存在

警察犬は、地震や豪雨といった災害現場での被災者捜索や、犯罪現場の手がかり捜査に欠かせない。「人吉警察犬訓練所」(熊本県相良村)は2020年7月の豪雨で施設が被災した。集まった浄財で仮犬舎が再建されたと聞き、訓練所を訪ね、訓練を体験させてもらった。

犬をそばに付けて歩く基本動作から

2021年3月下旬、村の高台にある第2訓練所で、シェパードのタンク(3歳、雄)と対面した。現役の嘱託警察犬で、見た目はおとなしそうだ。

「オビディエンス(服従訓練)の一つ、脚側行進から始めます」。犬をそばに付けて歩く基本動作の手本を、所長の開田(かいだ)宏さんが見せてくれた。

犬が喜んで反応するボールを右手で持ち、左肩に置く。「アトヘ」の掛け声の後、ボールを見せては隠すように手を動かしながら、タンクを付き従えて広場を1周。終わったら、勢いよくボールを投げ、取ってきたタンクをなでて褒める。簡単そうだと思い、やってみた。

「アトヘ!」

タンクは無反応で、気ままに広場を駆け回っている。何度か繰り返し、やっと一緒に歩いてくれた。ただ、ボールを欲しがるタンクが体を押しつけてきて思うように歩けない。やっとのことで1周を終えた。

大切なのは褒めること

開田さんは「とにかく褒める。訓練が楽しいものだと思えるようにするのが大切なんですよ」とアドバイスをくれた。その言葉に、人間と同じだとうなずいた。

訓練所は1989年設立。警察で飼育する直轄警察犬、一般家庭で育てられる嘱託警察犬を訓練している。これまでに約250頭を育成し、熊本だけでなく、福岡、鹿児島両県警でも貢献しており、育成技術への評価は高い。

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