飛沫拡散予測で活躍中の「富岳」を豪雨予測にも!

写真説明:本格運用が始まったスーパーコンピューター「富岳」(神戸市中央区で)

スパコンとしての実力

理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」の本格運用が2021年3月に始まった。2020年6月と11月、スパコン性能の世界ランキングの主要4部門で世界一を獲得。試運転段階から、新型コロナウイルス感染症の飛沫(ひまつ)拡散予測で注目された。今後は豪雨が降る地域を予測して、避難に結びつけるなどの成果にも期待がかかる。

2020年の九州豪雨を富岳を使って検証すると

「富岳で計算したら、半日前には豪雨になる確率が高いと予測できた」。気象庁気象研究所の川畑拓矢室長はそう語る。2020年7月の九州豪雨では、4日午前6時ごろに熊本県人吉市で球磨(くま)川が氾濫するなど、大きな被害が出た。気象庁はこの豪雨や氾濫を事前に予測できず、結果的に住民らの避難の遅れにつながった。

川畑室長のチームは富岳を使い、氾濫の約12時間前の3日午後6時の気象データから、気温や風、水蒸気量などを様々に設定した1000パターンの降水量を計算した。

西日本各地を2km四方に区切り、12時間後に3時間あたり50mm以上の大雨となる確率が高い(下の図では赤が最も高い)場所を調べたところ、人吉市などが最大90%以上となった。球磨川が過去最大水位を越える確率は約60%で、氾濫も予測可能とわかった。

◆富岳で検証した九州豪雨の確率予測

富岳で検証した九州豪雨の確率予測

 

(画像は川畑室長提供)

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