石碑を防災に!災害記録を地図で可視化する試み

国土地理院が「自然災害伝承碑」を地図に掲載

過去に起きた災害の実態や教訓を後世に伝える石碑や遺物の存在を多くの人に知らせるため、国土地理院は「自然災害伝承碑」の地図への掲載を進めている。伝承碑を地域の防災活動に生かす取り組みも広がりつつある。

漢文の石碑では教訓を伝えきれない

「明治40年7月15日に大雨が降り、2本の川が氾濫した。氾濫は唐突に起きたため、人々は逃げる暇がなかった」「水が引いた後の川岸に家々はなく、一面見渡す限り土石流で埋め尽くされた」

広島県坂町小屋浦地区には100年以上前の豪雨災害を記録する漢文を刻んだ石碑が立っていたが、内容は住民によく知られていなかった。地区は2018年の西日本豪雨に見舞われ、逃げ遅れた人も多く、甚大な被害が出た。

写真説明:西日本豪雨で甚大な被害に見舞われた広島県坂町小屋浦地区(2018年7月10日)

伝承碑の地図記号を制定

こうした石碑類を周知しようと地理院は2019年、伝承碑の地図記号を制定した。地方自治体と連携して情報を集め、ネット版や紙の地図に順次、掲載している。

◆2019年にできた自然災害伝承碑の地図記号

掲載は市区町村が地理院に申請する手順としているが、行政の調査には限界がある。地域住民が自らの力で調べれば、掲載が効率的に進むだけでなく、地域の災害史に対する関心が高まり、防災活動の向上につながる。

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