石碑を防災に!災害記録を地図で可視化する試み

地形と重ね リスク浮き彫り

ネット版の地理院地図には2021年1月15日現在で741基の伝承碑が掲載されている。ネット地図では、伝承碑の分布を示す地図と、土地の成り立ちを表す地形分類図や標高図を重ね合わせて表示することができるので、どのような場所で災害が起きて伝承碑が建てられているのかを知ることができる。

※全国の登録総数741基(2021年1月15日現在)

愛知・三重 伊勢湾台風の高潮碑を活用

愛知、三重両県の伊勢湾北部沿岸周辺には、伊勢湾台風(1959年)の高潮碑が多数ある。

説明:伊勢湾北部沿岸周辺に点在する伊勢湾台風(1959年)の高潮碑は、河川沿いの低地(青い部分)に集中している

標高図と重ね合わせると、伝承碑は、河川がいくつも流れる濃尾平野の低地に集中していることがわかる。こうした地域は危険性が高いことを示しており、「十分に注意せよ」という先人のメッセージが込められているように感じられる。

各地の地形分類図と重ねると、昔、川が流れていた「旧河道」に水害碑が多いことにも気づく。旧河道は周辺より地盤が低く、水が集まりやすい。伝承碑から地域のリスクを知り、防災に生かしたい。

(読売新聞 2021年2月28日掲載「減災」 編集委員・川西勝)

国土地理院の自然災害伝承碑

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