豪雨のとき川がなくても浸水リスク!内水氾濫に気を付けて

情報確認はハザードマップとキキクルで

降雨から被害発生までの時間が短く、避難が遅れがちになる点に注意が必要だ。

防災システム研究所長の山村武彦さんは、「まず自宅が被害を受ける可能性がないかハザードマップで確認してほしい」と助言する。過去に被害を受けた自治体の多くで「内水氾濫ハザードマップ」を作成し、情報を定期的に更新している。横浜市は6月、1時間あたりに想定される最大規模の降雨に基づいてマップを更新した。

大雨が降り始めた後は、気象庁がサイトで公開する「キキクル(危険度分布)」(https://www.Jma.go.jp/bosai/risk/)が役立つ。降った雨による災害発生のリスクを数値化。「土砂」「浸水」「洪水」の3種類あり、「浸水」で内水氾濫の情報が得られる。地図上の1㎢ごとに5色で色分けし、危険度を示す。例えば、赤は「警戒(警報級)」。いつ冠水してもおかしくなく、早めの行動の必要があることを表している。

写真説明:2018年の西日本豪雨の際(7月6日23時20分)の「浸水キキクル」の画像。岡山市は「警戒」の赤色になっている

自分で「水のう」作りや荷物移動も

自宅の被害の軽減策も検討したい。

内水氾濫では、排水管から水が逆流することがある。対策として、防災アドバイザーの高荷智也さんは、家庭用ゴミ袋を利用した「水のう」の活用を挙げる。40L程度の袋を二重にし、水を半分程度入れて口を閉め、浴室や洗濯機の排水口、トイレの便器内などに置く。水の重みで逆流をある程度防げるという。

床上浸水など大きな被害が予想される場合は、2階など高い場所に貴重品を上げる。車やバイクなどは事前に高台などに避難させることも考えたい。浸水想定区域外のショッピングモールの駐車場を車の緊急避難場所にする協定を、自治体と商業施設が結ぶ例も増えている。

「氾濫後、冠水が続くなどして、電気などのライフラインが止まってしまう可能性がある。家庭での備蓄も、もう一度点検して」と高荷さんは話す。

(読売新聞 2021年7月2日掲載、生活部・崎長敬志、生活教育部・田島武文)

無断転載禁止

この記事をシェアする

オススメ記事

新着記事

公式SNS