警察・消防に! 豪雨災害救助の新機材「水陸両用車」の実力

車の仕様は

水陸両用車は東日本大震災の津波被害をきっかけに注目された。豪雨災害が相次ぐ中、警察庁は2020年、福岡や広島など9都道府県の警察本部に初めて配備した。アーゴはカナダ製で、6人乗り(水上では4人乗り)。8輪駆動で悪路に強く、水上ではタイヤの回転を推進力に最大時速5kmで進む。運転には小型特殊自動車と小型船舶2級の免許が必要になる。

九州豪雨の際には

福岡県警によると、九州豪雨では、入所者14人が亡くなり、一時孤立状態になった熊本県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」から、取り残された人たちを運び出した。同県人吉市では、1階部分が浸水した建物に、水上走行で横付けして上階に避難していた80歳代の女性を助け出した。大規模冠水した福岡県大牟田市でも活動した。水にぬれた被災者は体温低下の恐れがある中、迅速な救助につなげた。

救助に参加した福岡県警第1機動隊の原田和季巡査長は「手こぎボートは隊員5人が必要だが、水陸両用車は2人で対応できる。水上だけでなく、悪路でも走破性能が高い」と話す。福岡県は2021年3月、新たに1台を配備した。

福岡県では九州北部豪雨以降、4年連続で大雨特別警報が出された。県警は2021年、全35警察署に救命ボートの配備を完了。水陸両用車が到着するまでの救助活動を担う。水陸両用車を運用する県警第2機動隊小隊長の上瀧浩嗣警部補は「災害がいつ起きても対応できるよう、万全の準備をしたい」と話した。

福岡県警以外の配備状況

アーゴの日本総販売元「サポートマーケティングサービス」(埼玉)によると、全国の警察・消防では計61台を配備。前橋市や埼玉県越谷市などは、災害時に、同社が車両で駆けつける協定を結んでいる。

(読売新聞 2021年6月18日掲載 社会部・田中浩司)

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