被害を最小限にできる? 浸水に強い「耐水害住宅」の実力

木造住宅の浸水は防げるのか

住宅の浸水被害を最小限にとどめる対策は現在、どこまで進んでいるのか。

国立研究開発法人「防災科学技術研究所」と住宅メーカー「一条工務店」は2020年10月、同社が開発した耐水害住宅と、通常の住宅を比べる実験をした。

茨城県つくば市にある防災科研の大型実験施設に、これら2棟の住宅(木造2階建て)を並べ、人工的に豪雨を再現した。

◆家屋の耐水能力を調べる実験(画像は一条工務店提供)

通常の住宅では、周囲の水位が1・3mに達するまでに建物のあちこちの隙間から水が浸入し、浴室や洗面所では排水管から水が逆流した。

一方、耐水害住宅は浸水せず、水の逆流もなかった。▽洪水時に換気口や配水管を自動的にふさぐ弁▽水圧が高まるとドアや窓の隙間がふさがる特殊なパッキンや強化ガラス▽通常より高い位置に開けた鍵穴――などの性能や効果が実験で確かめられた。

水害に強くするためにかかる費用

電気設備やエアコンの室外機も高い位置に取り付けるなど、災害後の生活まで考慮した設計で、水に囲まれて浮き上がった住宅が流されないように四隅を敷地につなぎ留める装置もある。水害対策の追加費用は約70万円に抑えた。

防災科研の酒井直樹・総括主任研究員(防災工学)は「地震の場合は国の耐震基準があるが、水害にはない。近年深刻化する水害に備え、『耐水害基準』を整備するべきだ」と指摘する。

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