どう守る?登下校中の地震!小学校や家庭に必要な備え(前編)

学校は校外での地震遭遇を想定しているか

東日本大震災の発生時、被災3県の9割の小学校で児童が校内におり、多くの児童は訓練通りに机の下に潜る避難行動を取ることができた。しかし、地震は必ずしも学校にいる時間帯に起きるとは限らない。2018年の大阪北部地震では、登校中の女児が倒壊したブロック塀の下敷きになり、死亡している。

通学路

「登下校中など、先生がいない、机もない状況を想定した訓練を繰り返し行うことが重要だ」と東京学芸大学の渡辺正樹教授(安全教育学)は指摘する。通学路には自動販売機やブロック塀など、倒壊する危険がある物は多い。児童が安全な場所に素早く身を寄せられるよう、訓練を行うことが大切だ。通学範囲が広い学校は、通学途中の避難場所を決め、家庭と共有しておく。

安否確認

東日本大震災では、被災地の学校は、既に下校した児童の安否確認を主に電話や自宅訪問で行い、1週間かかったケースもあった。安否確認と、保護者への引き渡しのルールは事前に決めて徹底しておくことも大切だ。例えば、安否確認は児童が自宅に着いたら、保護者が学校にメールやSNSで連絡を入れる。引き渡しでは、「事前に登録していない人には引き渡せない」と明確にしておく。

学校は避難所になる

地域の避難所にもなるのが学校だ。政府は首都直下地震の帰宅困難者は、東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城の1都4県で最大約800万人と想定する。昼間に発生した場合、保護者が帰宅困難となった児童が多く学校に残り、「押し寄せる多様な避難者により、収容能力を超える避難所が出る」としている。教員は児童と避難者双方の対応に追われる恐れがあるため、渡辺教授は「避難所の開設・運営は地域住民が主体的にできるよう、学校は市町村や地域と協議し、ルール化しておくべきだ」と指摘した。(後編に続く)

(読売新聞 2021年8月18日掲載 「防災ニッポン 小学校」 教育部・石井正博、服部真)

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後編では、地震発生時に校内にいた場合、校外活動中だった場合、登下校中だった場合のそれぞれの注意点、また津波への備えについて紹介しています。

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