災害時は指定の「寺社」避難所へ!耐震補強やトイレ・水利用で地域の安心

高台にあり停電・断水下でもトイレや飲料水が利用可能

一方、鎌倉時代の創建から約700年になる臨済宗吸江寺は、2021年3月末に市と協定を締結。本堂には8畳と12畳の4部屋があり、待月(たいげつ)庵、千代丸地蔵堂、パゴダと合わせて計76人が寝泊まりできる。

写真説明:臨済宗吸江寺の畳敷きの本堂で説明する小林玄徹住職

地域は浦戸湾に面し、津波で浸水する恐れがあるが、寺は五台山の麓で高さがあり、その心配はない。トイレは停電や断水でも使えるくみ取り式も備え、山からのわき水もあって飲料水に利用できる。小林玄徹住職は「災害時、困っている人に安心して過ごせる場所を提供するのは寺の重要な役割と思い、避難所の指定を申し出た」と話す。

南海トラフ地震が最大規模で起きた場合

高知市の指定避難所は、小中学校、公民館などに市立保育所を加えて計273か所になった。それでも南海トラフ地震が最大規模で起きた場合、浸水区域外で耐震性がある避難所は126か所に限られ、収容人数は計約7万1500人。発生直後の避難者は16万5000人と想定され、約9万3500人分が不足する。

岡崎誠也市長は「仏閣や神社は地域と交流があり、救護所などの役割も担ってきた」と話し、災害時の避難所として期待する。

高知県内では、四万十町が2020年11月、岩本寺と協定を締結。いの町でも清雲寺が避難所に指定されている。

(読売新聞 2021年7月14日掲載 高知支局・古谷禎一)

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