氾濫の一因は中州の公園にあった!土木学会が九州豪雨分析

写真説明:九州豪雨で甚大な被害があった熊本県人吉市(2020年7月4日撮影)

全国にある同様の中州公園に警鐘

熊本県南部を流れる球磨(くま)川が氾濫し、流域で多数の犠牲者が出た2020年7月の九州豪雨から1年余りが過ぎた。当時の被害状況の分析が進む中、防災上の様々な課題が浮かび上がってきた。

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土木学会調査団の分析結果

同県人吉市の中心部で球磨川が氾濫したのは、中州の公園が一因――。土木学会の調査団はこんな分析結果をまとめた。

調査団長の大本照憲・熊本大特任教授(河川工学)は、中州にある市管理の「中川原公園」周辺の地形を小型無人機で測量。3Dプリンターで公園や橋の模型(縮尺400分の1)を作り、川の流れを再現する実験を行った。

その結果、当時の流量(毎秒8000t)では川の水が公園付近でせき止められ、水位が約2m上昇することが判明。さらに、公園付近の3本の橋が水没すると、橋がない場合に比べて水位が最大2m高くなることもわかった。

球磨川の中州が氾濫の一因になった仕組み(イメージ)

当時の流量(毎秒8000t)で川の水が公園付近でせき止められると…

写真説明:氾濫の一因とされる中州の「中川原公園」周辺(熊本県人吉市で、2020年7月4日撮影)

大本団長は「公園と橋がセットになって、流れを妨げる『ふた』をした状態になった」と指摘。同様の中州は全国にあり、学会は「流れが滞らないよう、公園の改修を含めた検討が必要」と呼びかける。

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