「垂直避難」に関する東京理科大チームの分析
一方、東京理科大のチームは、球磨川流域での犠牲者のうち、自宅の上階に逃げる「垂直避難」をしても助からなかった人が2割に上ったとする分析結果を明らかにした。
チームの二瓶(にへい)泰雄教授(河川工学)らは、現地調査などで犠牲者50人が被災した場所を特定。自宅内が44人、自宅前が4人、不明が2人だった。自宅内で亡くなった人の2割(9人)は、流失した自宅に取り残されたり、2階で被災したりしていた。
建物に残った浸水の痕跡などを基に、氾濫時の水位などをコンピューターで再現したところ、浸水の深さは広い範囲で2m以上となり、最大5m以上に達したという。
これらの結果から、二瓶教授は「自宅で垂直避難をしても被害を免れるのは困難な状況だった」とし、早期避難の重要性を訴える。
(読売新聞 2021年8月8日掲載 科学部・中村直人)
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