九州で災害が相次いでいる
――九州で大雨災害が相次いでいる印象だがどうか。
気象要因に伴う大雨災害は全国で発生しており、九州に特化したものではないと考えている。梅雨で言えば、沖縄から九州、本州へと移行し、その過程のいずれかの地域で災害が発生している。
――背景には何があるのか。
地球温暖化の影響が指摘されている。気温が上昇すると、空気中に含むことのできる水蒸気量が多くなる。つまり降らない時は降らないが、降る時にはどっと降る。海面水温の上昇で水蒸気量自体も増え、過去の観測データを見ても、最近は降り方が強くなっている。
――気象庁の取り組みは。
積乱雲が次々と発生し、帯状に連なる『線状降水帯』の予測精度向上に向けた取り組みが進んでいる。海上の船舶で水蒸気量を観測したり、陸上ではアメダスに湿度計を入れたりし、監視体制を強化している。
私が務めている「地域防災官」の各気象台への配置も新たな試みだ。自治体や防災機関、地域住民向けに講話を行うなど、平時から連携を強化し、有事には専門家として気象情報を解説する。県全体の防災力向上に役立ちたいと考えている。
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