写真説明:大雪のため多くの車が立ち往生した新潟県内の関越道(2020年12月17日)
冬の車内で長時間、備えがなければどうなる?架空シナリオで考える
大雪による被害が近年、目立っている。2020年12月や2021年1月、高速道路で1000台以上の車が立ち往生したニュースは記憶に新しい。立ち往生が発生すると、解消まで時間がかかり、巻き込まれて車内で長時間の待機を余儀なくされる恐れがある。雪国を訪れる際には緊急事態に備え、対策を確認しておくことが重要だ。架空のシナリオで考えておきたい。
こちらの記事もおすすめ!→車両保険は災害補償も要確認!地震・台風は補償される?
シナリオ1 勢い増す雪、立ち往生…不安
「大雪か。でも今日中には家に着かないと」
高速道路のサービスエリアでトイレ休憩を済ませた太郎(35)は、スマートフォンを見て、大雪の警報が出ていることを知った。妻の花子(30)とスキー旅行を楽しみ、翌日の仕事に備えて午後早くに切り上げ、車で帰宅する途中だった。
「このまま走り続けて大丈夫かしら」。花子は心配そうだが、太郎は「スタッドレスタイヤをはいているし、チェーンも積んでいる。平気だよ」と余裕を見せる。駐車場に止めた車に戻り、エンジンをスタートさせた。
だが、余裕は長くは続かなかった。しばらく走ると急に雪の勢いが増してくる。前方が見えにくくなり、運転するのが怖いと感じるほどだ。
周りの車の速度が徐々に遅くなり、やがて、降り続ける雪の中、前方の車が次々とハザードランプを点滅させ始めた。「事故かしら」と花子。太郎もハザードをたいて車を停止させた。
車列は一向に動かない。ラジオをつけると、車の立ち往生が発生していることを伝えていた。巻き込まれてしまったようだった。大雪は当初の警報よりも早く、そして短時間で降ってしまったという。
「今日中に何とか家に帰り着けるだろうか」。不安を感じながら、太郎はハンドルを握ったまま、前方を見つめるしかなかった。
無断転載禁止