謎多いトンガ海底噴火詳報!大爆発や津波など専門家の解析まとめ

東大地震研による噴煙の勢いに関する分析

噴煙が広がる勢いが比較的強かった、との見方もある。東京大地震研究所の鈴木雄治郎准教授(火山物理学)は、噴火から約70分後に傘状の噴煙が成層圏で直径約520kmに広がったと分析。噴煙の勢いをピナツボ火山噴火の約3倍と推定しており、「海底からのマグマの噴出量が多く、水と接触して一気に体積を増やして大爆発を起こしたのではないか」と話す。大量の火山灰は約65km離れた首都があるトンガタプ島まで降り注いでいた。

二酸化硫黄などによる環境への影響

火山噴火は環境にも影響する。火山ガスに含まれる二酸化硫黄(SO2)が上空で硫酸エアロゾル粒子に変化して太陽光を反射、地表の日射量が減って気温低下をもたらすためで、ピナツボ火山噴火時は地球の平均気温が0・5℃低下した。日本では冷夏となってコメの凶作につながった。

米研究者は今回、SO2の放出量を約40万tと推計。ピナツボ火山噴火の50分の1程度で、気象庁異常気象情報センターの竹川元章所長は「天候、気候への影響は限定的」とみる。

説明:火山ガスに含まれる二酸化硫黄(SO2)は、上空で硫酸エアロゾル粒子に変化して太陽光を反射。地表の日射量に影響する

一方、宇宙航空研究開発機構(JAXA=ジャクサ)はエアロゾルが高さ28kmの成層圏に分布していると解析し、長期間漂い続ける可能性があることから監視を続ける。

SO2などのガスは化学変化して酸性雨をもたらす恐れもあるが、被害は確認されていないという。

◆1991年のフィリピン・ピナツボ火山噴火との比較

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