写真説明:福島県沖地震で設けられた福島県相馬市の避難所(2021年2月14日)
子どものリュックに学んだ衣類備蓄の必要性
2021年末、小学生の息子の部屋にあるクローゼットを整理していると、パンパンにふくれたリュックサックが出てきた。息子専用の防災バッグだ。
開けると、あずかり知らぬ菓子やトランプなど、息子オリジナルの防災グッズがいっぱい。さらに、スエットの上下や靴下などの衣類も出てきた。理由を尋ねると、「長く泊まるかもしれないから」。私のバッグに服はない。菓子やグチャグチャの収納状況はさておき、避難の長期化を想定した?対策に思わず感心した。
災害時の服の備えは見落とされがちなようだ。ユニクロを運営するファーストリテイリングが2021年、全国2400人の成人を対象に行った調査によると、災害に備えて服を用意している人は15%。衣類を備蓄している市区町村も18%にとどまった。一方で、約400人の避難経験者の4人に1人は、避難時に不足したものに衣類をあげた。
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どんなものをどのぐらい?
高崎健康福祉大教授の内田幸子さんは「衛生、防寒などの面から服は必需品だが、備えは不十分。支援物資として届くまで時間が掛かるので、最低3日分は用意が必要」と呼びかける。ぜひそろえたいのは、下着、靴下、動きやすいジャージーやスエットなど。汚れが目立たない色で、発熱や吸水などの機能性があるものがお薦めという。圧縮袋を使えば、雨水などでぬれず、コンパクトにまとまる。
災害はいつ起きるか分からない。早速、お薦めのセットを家族3人それぞれのバッグに詰め込んだ。まだ寒いので軽量のダウンジャケットも追加。他の収納物も見直すと、残念ながら、息子のバッグから菓子の一部ははみ出たが、「少しでも快適に泊まるため」と、納得してもらった。
東日本大震災から11年。季節の変わり目に、衣類の備蓄を検討してみては。
(読売新聞 2022年2月13日掲載 生活部・斎藤圭史)
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