夜の津波警報!(前編)真っ暗闇な街でどこにどう避難する?

写真説明:明け方に地震が起き、沿岸部から内陸方面へ車の渋滞が生じた

夜間就寝中の地震で津波避難となった時

2022年1月に起きたトンガの海底火山噴火では、翌日の未明に日本の太平洋側を中心に広い地域に津波警報や注意報が発令された。一部地域で車の渋滞が発生するなど、避難行動の課題が改めて浮き彫りになった。日本周辺での地震による津波の場合、停電の中での避難を余儀なくされる可能性も高い。夜間の津波避難について架空のシナリオで考える。

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シナリオ1 緊急地震速報で跳び起き、「津波警報」メール受信…恐怖しかない

津波が襲ってくるかもしれない――。

真っ暗な中、ベッドで毛布や布団を頭からかぶり、すさまじい揺れに耐えながら、太郎(38)は恐怖を感じていた。自宅は沿岸部にあり、津波の浸水想定区域に入っている。

妻の花子(30)と就寝中に、けたたましい「緊急地震速報」の音で跳び起き、枕元のスマートフォンを手に取った。揺れに見舞われたのは、その直後だった。

地震が収まると、すぐにスマホで状況を確認する。花子も画面をのぞき込んだ。「津波警報」を知らせる緊急速報メールが届いていた。ただちに高台など安全な場所へ避難するよう呼びかけている。

「すぐに出よう」。太郎は枕元に置いていた懐中電灯を手探りした。だが、どこにもない。地震の揺れで飛ばされたようだ。

仕方なく、スマホの明かりで部屋の中を照らした。衣装ケースやハンガーラックが全部倒れているのがわかる。その中に懐中電灯も転がっていた。

寝室の照明をつけようとするが、つかない。停電しているようだった。懐中電灯をつけて床に置いたまま、2人はケースから服を引っ張り出し、身支度を急いだ。

「外はまだ寒いはずよ」。春コートなども羽織る。

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