災害ボランティア考「恩のリレー」が厄災の社会を拓く

渥美公秀・大阪大学大学院教授インタビュー

日本列島は、地震、豪雨水害、火山噴火など数多くの大規模災害に見舞われてきたが、人々は支え合い、知恵を絞って苦難を乗り越えてきた。その原動力の1つが、被災地に集う災害ボランティアだ。渥美公秀大阪大学大学院教授(=写真、すべて編集委員・鈴木竜三撮影)は阪神・淡路大震災で被災した経験を持ち、東日本大震災でも理事長を務める災害NPOで被災者に寄り添ってきた。今後の厄災にどう備えるべきなのだろうか。渥美教授に聞いた。

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日本災害救援ボランティアネットワーク(NVNAD)について

私が理事長を務めるNPO法人「日本災害救援ボランティアネットワーク(NVNAD)」の活動理念は、「1人ひとりのいのちとくらしに寄りそう」です。

東日本大震災のときのこと

とにかく現場へ。東日本大震災では、東京に集結しつつあった全国の災害ボランティア団体が東北地方を北上するのなら、北から被災地に入れないかと考えた。福島の被災者の避難先だった新潟に立ち寄った後、青森県八戸市に向かいました。

岩手県北部の野田村で

たどりついたのは岩手県北部の野田村。高さ10mの津波に中心市街地が襲われ、37人の死者を出しました。

写真説明:津波被害に見舞われた岩手県野田村(2011年3月14日)

当時、陸前高田市などの岩手県南部や仙台市に比べると報道量も乏しく、目立たない被災地ですが、ボランティアの助けが必要なのは明らかでした。NPOの事務所がある兵庫県西宮市からボランティアバスを運行し、がれきの処理や泥のかき出しなどに取り組みました。

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